国立大学法人 岡山大学

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小児先天性心疾患に対する細胞治療法の8年経過予後を解明〜増えぬ小児臓器移植の現状を打破する新たな治療戦略〜

2024年11月19日

◆発表のポイント

  • 岡山大学病院では2011~2015年にかけて単心室症の小児患者さんに自家細胞移植を行ってきました。
  • 通常の心臓手術に加え、細胞治療を受けた40人と心臓手術群単独群53人を8年間追跡調査しました。
  • 細胞治療を併用することで、心臓手術後の重症な合併症と遅発性心不全の発症が著明に減少し、かつ生存率が有意に上昇することを明らかにしました。

 岡山大学病院新医療研究開発センター再生医療部の王英正教授と同大学病院小児科の平井健太研究准教授ならびに国内7施設の共同研究グループは、予後不良とされている小児単心室症に対して、細胞移植を併用することで、有意な生命の延伸効果があることを突き止めました。
 これらの研究成果は11月11日、米国の心臓病学会雑誌「Journal of the American Heart Association」のOriginal Research電子版として掲載されました。
 重篤な心不全に対する細胞治療法の短期的な臨床成績は報告されているものの、長期的な予後改善効果はこれまで明らかにされていません。岡山大学病院では世界で最大規模の小児心不全への細胞移植を実施してきた経験があり、今回、8年目における細胞治療のメリットを解明しました。
 本研究成果は、臓器提供者不足によって小児心臓移植が進まない国内の現状を打破する新たな治療戦略となることが期待されます。

◆研究者からひとこと

長期追跡調査にご協力いただいた患者さんと共同研究者の先生方に感謝いたします。
平井研究准教授
国内でいつ移植を受けられるか見通せず、海外渡航による心臓移植を選ぶ患者さんにとって、今後、新たな治療選択肢になればと願っております。
王教授

■論文情報
論 文 名:Eight-year outcomes of cardiosphere-derived cells in single ventricle congenital heart disease
掲 載 紙:Journal of the American Heart Association
著  者:Kenta Hirai, Ryusuke Sawada, Tomohiro Hayashi, Toru Araki, Naomi Nakagawa, Maiko Kondo, Kenji Yasuda, Takuya Hirata, Tomoyuki Sato Yuki Nakatsuka, Michihiro Yoshida, Shingo Kasahara, Kenji Baba, and Hidemasa Oh
D O I:doi: 10.1161/JAHA.124.038137.
U R L:https://www.ahajournals.org/doi/epub/10.1161/JAHA.124.038137

■研究資金
 本研究は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」(基盤研究B・22H03040)の支援を受けて実施しました。

<詳しい研究内容について>
小児先天性心疾患に対する細胞治療法の8年経過予後を解明〜増えぬ小児臓器移植の現状を打破する新たな治療戦略〜

<お問い合わせ>
岡山大学病院 新医療研究開発センター再生医療部
教授 王 英正
(電話番号)086-235-6506
(FAX)086-235-6505

年度