国立大学法人 岡山大学

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紫米は宇宙で安定に保存できる

2025年01月23日

◆発表のポイント

  • 国際宇宙ステーション船外で長期保存した紫米と白米では、紫米の生育率が白米に比べて3倍以上高いことが分かりました。
  • 船外保存中に損傷した遺伝子の数が、紫米は白米に比べ少ないことが分かりました。
  • 紫米に含まれるアントシアニンが太陽光や宇宙放射線から種子を保護することが分かりました。

 岡山大学資源植物科学研究所の杉本学准教授と岡山大学の前川雅彦名誉教授、福岡工業大学の三田肇教授、東京薬科大学の横堀伸一准教授の研究グループは、紫米に含まれるアントシアニンが太陽光や宇宙放射線から種子中の遺伝子を保護し、宇宙環境で米を長期保存できる事を明らかにしました。この研究成果は、2024年10月30日に国際宇宙空間研究雑誌「Life Sciences in Space Research」のResearch Articleとして掲載されました。
 宇宙放射線やUV-Cを含む太陽光等の宇宙環境は植物内で活性酸素種(ROS)を発生させて酸化ストレスを引き起こし、DNAや細胞にダメージを与えます。今回、紫米と白米を国際宇宙ステーションの船外で440日間保存したところ、紫米の生育率が白米に比べ3倍以上高いことから、紫米に含まれる抗酸化物質であるアントシアニンが種子中の遺伝子を宇宙放射線や太陽光から保護し生育率を高めると考えられます。
 本研究成果は、宇宙環境で種子の保存や栽培する植物に起こりうる問題や種子保存や栽培に不可欠な情報を提供し、今後人類が月や火星で長期にわたり活動する際に必要な食料の自給自足に貢献できることが期待されます。

◆研究者からひとこと

2007年に行った研究では、大麦種子を国際宇宙ステーション船外に 1年間保存すると生育率は82%、2008年には世界初となる宇宙ビール「Space Barley」を醸造しました。しかし、白米の生育率は50%以下であり宇宙で長期保存するには厳しい結果でしたが、本研究成果により、宇宙で「とりあえずビール!」に加え「〆のお茶漬け、おにぎり」を楽しめることに一歩近づけたと思っています。
杉本准教授

■論文情報
論文名:Anthocyanin can improve the survival of rice seeds from solar light outside the international space station
掲載紙:Life Sciences in Space Research
著者:Manabu Sugimoto, Masahiko Maekawa, Hajime Mita, Shin-ichi Yokobori
DOI:https://doi.org/10.1016/j.lssr.2024.10.010
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214552424000993?via=ihub

■研究資金
 本研究の一部は、大原奨農会研究助成、自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター研究助成(AB0506)の支援を受けて実施しました。

<詳しい研究内容について>
紫米は宇宙で安定に保存できる


<お問い合わせ>
岡山大学 資源植物科学研究所
准教授 杉本 学
(電話番号)086-434-1253
(FAX)086-434-1253

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