国立大学法人 岡山大学

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中国伝統の香醋成分フレグライド-1にアトピー性皮膚炎の治療ターゲットとしての可能性

2025年02月28日

岡山大学
神戸大学

◆発表のポイント

  • 香醋由来抗肥満物質フレグライド-1がアリール炭化水素受容体シグナルの調節を介してアーテミンの発現を抑制することを発見しました。
  • アーテミンはアトピー性皮膚炎に関連しており、伝統的発酵食品成分が健康に貢献する可能性を示すものです。

 岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の佐藤あやの教授らと神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科の辻野義雄特命教授らの研究グループは、中国の伝統的な発酵食品である香醋(こうず)に含まれる「フレグライド-1」に、新たな生理活性を見出しました。フレグライド-1は、日本の黒酢にも含まれることが確認されています。この成分は、抗肥満作用や抗酸化作用を持つことが知られていましたが、今回、アトピー性皮膚炎に関連するタンパク質「アーテミン」の発現を抑える作用も持っていることが細胞レベルで明らかになりました。
 フレグライド-1は、生体内の異物の影響を調節する「アリール炭化水素受容体」の細胞内シグナル伝達を抑えることで、このような作用を示します。また、同じような作用を持つSR1と比べて、安全性が高いことも示されました。本研究成果は、伝統的な発酵食品に含まれる成分が、肥満やアトピー性皮膚炎といった現代社会の健康課題に対して多面的な効果を発揮する可能性を示すものです。
 食品由来の化合物が持つ多彩な生理活性の解明が、病気の予防や治療法の開発につながることが期待されます。本研究は、国際学術誌「Food and Chemical Toxicology」オンライン版に2025年2月7日付で掲載されました。

◆研究者からひとこと

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佐藤教授

■論文情報
論文名:Fraglide-1 from traditional Chinese aromatic vinegar: A natural AhR antagonist for atopic dermatitis
掲載紙:Food and Chemical Toxicology
著者:Kosuke Kato, Miki Akamatsu, Saya Kakimaru, Mayuko Koreishi, Masahiro Takagi, Masahiro Miyashita, Yoshiyuki Murata, Yoshimasa Nakamura, Ayano Satoh, Yoshio Tsujino
DOI:https://doi.org/10.1016/j.fct.2025.115301
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278691525000687?via=ihub

■研究資金
 本研究は、科研費 (18K06133, 21H05028) と岡山県特別電源の支援を受けて実施しました。

<詳しい研究内容について>
中国伝統の香醋成分フレグライド-1にアトピー性皮膚炎の治療ターゲットとしての可能性


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域
教授 佐藤あやの
(電話番号)086-251-8163

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