国立大学法人 岡山大学

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砂糖だけじゃない!?へミアミナールの環鎖互変異性

2025年04月22日

岡山大学
就実大学


◆発表のポイント

  • メチレンブルーは従来、酸化還元指示薬としてグルコースなどの検出に用いられてきました。
  • 筆者らはインドリンヘミアミナールが環鎖互変異性を有することを確認しており、鎖状互変異性体由来の生成物に関して研究を進めてきました。
  • 今回、温度と反応時に用いる気体を変更することのみでインドリンヘミアミナールから2-アミノベンジル誘導体および2-アミノベンゾイル誘導体の作り分けに成功しました。
  • 検討の過程においてメチレンブルーを用いた呈色試験により、インドリンヘミアミナールが還元性を持つことを明らかにしました。
  • 今後、メチレンブルーを用いたヘミアミナールの検出方法の確立、およびヘミアミナールの還元性を利用した反応開発が期待されます。

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)合成医薬品開発学分野の徳重慶祐(博士後期課程3年)、合成薬品開発学分野小堀由翔(博士前期課程1年)、同学術研究院医歯薬学域(薬)精密有機合成化学分野の阿部匠講師および就実大学薬学部薬学科基礎薬学部門薬品化学研究室の浅井彰太講師は、インドリンへミアミナールを用いた2-アミノベンジル誘導体および2-アミノベンゾイル誘導体の作り分けに成功しました。本手法は塩基性条件下において、温度と反応時に用いる気体を変更することのみで達成されました。さらにこれら発見の過程においてインドリンヘミアミナールが還元性を有することをメチレンブルーによる呈色試験によって明らかにしました。
 本研究成果はアメリカの化学誌、「Journal of Organic Chemistry」およびイギリスの化学誌、「Organic & Biomolecular Chemistry」に掲載されました。今後、メチレンブルーを用いたヘミアミナールの検出方法の確立、およびヘミアミナールの還元性を利用した反応開発が期待されます。

◆研究者からひとこと

原料が消えたにもかかわらず、後処理後、元に戻ってしまった時、「そんなことある訳ない」と何度も確認した記憶があります。これが環鎖互変異性の可視化であったことを理解してからは砂糖で見られる性質と一括りにしてしまっていた現状を猛省しました。このような性質を有する化合物はまだまだ隠れているかもしれません。ひょっとしたらあなたのすぐそばにも?(徳重)
徳重大学院生

阿部講師

小堀大学院生

浅井講師

■論文情報
論文名:Formal One Carbon Deletion of Indoline Hemiaminals under Tautomeric Control to Access 2-Aminobenzyl Compounds
掲載誌:Journal of Organic Chemistry (2024), 89(14)
著者:Keisuke Tokushige, Takumi Abe
DOI:https://doi.org/10.1021/acs.joc.4c00884

論文名:Indoline hemiaminals: a platform for accessing anthranilic acid derivatives through oxidative deformylation
掲載誌:Organic & Biomolecular Chemistry (2024) , 22
著者:Keisuke Tokushige, Yuito Kobori, Shota Asai, Takumi Abe
DOI:https://doi.org/10.1039/d4ob01218f

■研究資金
 本研究は科学研究費補助金(22K06503)および岡山大学次世代研究者挑戦的研究プログラム (OU-SPRING, JPMJSP2126) の支援を受けて実施しました。

<詳しい研究内容について>
砂糖だけじゃない!?へミアミナールの環鎖互変異性


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域
講師 阿部 匠

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