◆発表のポイント
- 岡山大学で開発したがんの低侵襲治療(CTガイド下IVR※1))に用いる針穿刺ロボットを用いて、医師主導治験を行いました。
- ロボットを用いた針の穿刺は全例で成功しました。
- ロボットを用いることで、医師は放射線による被ばくをすることなく、従来の医師の手で行う場合と遜色のない精度で針の穿刺ができることが示されました。
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)放射線医学の平木隆夫教授、学術研究院環境生命自然科学学域(工) の亀川哲志教授、松野隆幸教授、学術研究院医療開発領域新医療研究開発センター(岡山大学病院)の櫻井淳教授らのグループは、がんの低侵襲治療(CTガイド下IVR)に用いる針穿刺ロボットを開発し、それを用いた医師主導治験を行いました。これらの研究成果は4月4日、米国の放射線医学雑誌「Radiology Advances」にResearch Articleとして掲載されました。
治験においては、ロボットを用いた針の穿刺が全例で成功しました。また、ロボットを用いることで、医師は放射線による被ばくをすることなく、従来の医師の手で行う場合と遜色のない精度で針の穿刺ができることが示されました。すなわち、岡山大学が開発したロボットにより、従来の医師の手で行うがんの治療の成績を落とすことなく、長年の社会問題の一つである「医師の職業被ばく」の問題が解消される可能性が示唆されています。
◆研究者からひとこと
岡山大学の医工連携により2012年から開発してきたロボットで、社会問題が解決される可能性を示すことができ、これまでの苦労が報われる思いです。治験に参加してくださった患者さんなど全ての関係者の皆さまに感謝申し上げます。今後は、ロボットの機能をさらに進化させて、従来のがん治療の成績の向上につなげて、患者さんにもメリットのあるロボットにしたいと考えています。また実用化に向けてもまい進していきます。 | ![]() 平木 教授 |
■論文情報
論 文 名:Comparison of robotic versus manual needle insertion for CT-guided intervention: prospective randomized trial
掲 載 紙:Radiology Advances, 2025, 2(2), umaf010
著 者:Takao Hiraki, Yusuke Matsui, Jun Sakurai, Koji Tomita, Mayu Uka, Soichiro Kajita, Noriyuki Umakoshi, Toshihiro Iguchi, Michihiro Yoshida, Kota Sakamoto, Takayuki Matsuno, Tetsushi Kamegawa
D O I:org/10.1093/radadv/umaf010
U R L:https://doi.org/10.1093/radadv/umaf010
■研究資金
本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)革新的がん医療実用化研究事業 (課題番号:19ck0106489h0001, 20ck0106489h0002, and 21ck0106489h003)の支援を受けて実施しました。
<詳しい研究内容について>
岡山大学で開発した針穿刺ロボットを使ったがんの低侵襲治療(CTガイド下IVR)の治験完了~医師の被ばく問題解消へ~
<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)放射線医学
教授 平木 隆夫
(電話番号)086-235-7313