国立大学法人 岡山大学

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最先端半導体技術開発に新たな分析手法を提供

2025年06月20日

◆発表のポイント

  • 三次元LSIなどの最先端半導体開発に貢献する、新しい分析手法を開発。
  • 半導体PN接合の光励起による電子の動きとテラヘルツ波放射の関係を説明する単純化モデルを提案。
  • シリコン(Si)ウェハ内部に浅く形成されたPN接合の深さを、簡単に非破壊・非接触で、ナノメートル精度で、推定できることを実証。

 岡山大学、ライス大学、サムスン電子、日本サムスンによる国際研究グループは、シリコンウェハに埋め込まれたPN接合にフェムト秒レーザーを照射して生成されるテラヘルツ波を観察することで、非破壊かつ非接触で、簡単にウェハ内のPN接合の深さを推定する分析技術を、6月20日午後3時(日本時間)、Springer Nature出版「Light: Science & Applications」で発表。PN接合から放射されるテラヘルツ波と光励起された電子の複雑な動きを関連づける単純化したモデルを提案することで、電子の動きや内部電界などの情報を抽出でき、ウェハ表面近傍に浅く形成されたPN接合の深さをナノメートル分解能で定量的に推定することが可能になりました。
 この技術は、三次元LSIなどの先進的な半導体デバイスの開発を支援する新技術で、従来の半導体製造工程における信頼性や省エネルギー環境にも貢献する包括的な測定ソリューションを提供することができるもので、半導体産業に大きな貢献が期待できます。

◆研究者からひとこと

半導体産業の再興は日本復活のカギを握ることが、ようやく認識され始めました。今また、キャッチアップが始まり、失った物以上に革新が必要とされています。その中で、材料開発やデバイス開発が注目を浴びていますが、3次元LSI開発などを支える新たな分析科学の誕生も必要となります。地味な分野ですが、半導体分析技術にも注目してほしいところです。
斗内教授

■論文情報
論 文 名:Non-contact and nanometer-scale measurement of PN junction depth buried in Si wafers using terahertz emission spectroscopy
掲 載 紙:Light: Science & Applications
著  者:Fumikazu Murakami, Shinji Ueyama, Kenji Suzuki, Ingi Kim, Inkeun Baek, Sangwoo Bae, Dougyong Sung, Myungjun Lee, Sungyoon Ryu, Yusin Yang, and Masayoshi Tonouchi
D O I:https://doi.org/10.1038/s41377-025-01911-0

■研究資金
 本研究の一部は、科学研究費補助金の支援を受けて実施しました(基盤研究A、23H00184)

<詳しい研究内容について>
最先端半導体技術開発に新たな分析手法を提供


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)
教授(特任) 斗内政吉(とのうちまさよし)
(電話番号) 080-7015-4935

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