岡山大学
両備システムズ
◆発表のポイント
- 今回採択された研究開発課題「人工知能による胆道内視鏡画像診断システムの開発」では、AIを用いて胆道内を直接観察する胆道鏡の画像を解析し、「良悪性診断」と「範囲診断」を同時に支援する、世界初の胆道特化型デュアルAI診断システムを開発します。
- 胆道がんは早期発見や正確な範囲診断が難しく、5年生存率が30%未満と予後不良な難治がんの一つです。本システムの開発により、これまで困難であったがんの広がり(表層進展)の診断精度が向上し、根治切除率の向上、ひいては患者の生存率改善や医療費削減につながることが期待されます。
岡山大学病院消化器内科の佐藤亮介医員を代表とする研究グループの研究開発課題「人工知能による胆道内視鏡画像診断システムの開発」が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和7年度「医療機器等研究成果展開事業 チャレンジタイプ」に採択されました 。
同事業タイプは、アンメットメディカルニーズへの対応を含め、臨床的な課題解決につながる革新的な医療機器シーズを対象としています。科学研究費補助金等による学術研究と、本格的な医療機器開発プログラム(開発実践タイプ)とのギャップを埋めることを目的とし、①臨床上解決したい課題の大まかな設定ができている、②理論や基礎研究で一定の効果を説明できる、③後発医療機器ではない新しい発想やアプローチを検討している、という3つの要件を満たすシーズに対し、初号試作機作製等の機会を提供し、本格的な開発への橋渡しを行います。
佐藤医員は「人工知能による胆道内視鏡画像診断システムの開発」の研究開発課題名のもと令和7年度の1年間、研究開発代表者(チームリーダー)として研究チームを率いることになります。本研究は、佐藤医員と岡山大学学術研究院医療開発領域・光学医療診療部の松本和幸講師、同領域・新医療研究開発センターの内田大輔准教授(特任)が、研究開発分担者である株式会社両備システムズの冨谷昌弘(サブリーダー)らと共同で、予後不良である胆道がんの診断精度を飛躍的に向上させることを目指すものです。AI技術を用いて、これまで診断が困難であった胆道がんの悪性度や進展範囲をより正確に評価する新しい診断システムを開発し、根治手術率の向上と患者の予後改善に貢献することが期待されます。
◆研究者からひとこと
胆道がんは診断が非常に難しく、多くの患者さんが厳しい状況にあります。今回、AMEDのチャレンジタイプにご採択いただき、AIという新たな技術でこの難題に挑戦できる機会をいただけたことを大変光栄に思います。 本研究は、ご指導いただいている松本和幸先生、そしてAI開発でご協力いただく共同研究先の株式会社両備システムズとともに、臨床現場から着想を得て進めてきた課題です。また、学術研究院医歯薬学域(医)実践地域内視鏡学講座の河原祥朗教授(特任)、同消化器・肝臓内科学の大塚基之教授にも指導・助言いただきながら、この1年間でAIシステムのコア技術を確立し、初号試作機の開発計画を策定することで、翌年度に必須となる開発実践タイプへの応募を目指します。この研究を成功させ、診断の精度を飛躍的に高めることで、一人でも多くの胆道がん患者さんの予後改善に貢献できるよう、チーム一丸となって研究開発に邁進してまいります。 | ![]() 佐藤医員 |
<採択情報>
事業名:令和7年度 医療機器等研究成果展開事業 チャレンジタイプ
研究開発課題名:人工知能による胆道内視鏡画像診断システムの開発
研究開発代表者:佐藤 亮介(岡山大学病院 消化器内科 医員)
共同開発機関:株式会社両備システムズ
研究開発期間:令和7年5月16日から令和8年3月31日
<詳しい内容について>
岡山大学病院消化器内科・佐藤亮介医員がAMED「令和7年度医療機器等研究成果展開事業 チャレンジタイプ」に採択
<お問い合わせ>
岡山大学病院 消化器内科
医員 佐藤 亮介
(電話番号)086-235-7219
(FAX)086-225-5991
株式会社両備システムズ 広報部
(電話番号)086-264-1311