国立大学法人 岡山大学

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“つらい”を“楽しい”に変える! VRリハビリを岡山大学と日本電子専門学校が共同開発

2025年08月19日

◆発表のポイント

  • 小児がん患者が抱えるリハビリの身体的・心理的苦痛に対し、楽しさと個別最適化を重視したVRリハビリコンテンツを開発しました。
  • 研究開発成果を、東京ゲームショウ2025で展示予定です。

 岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)医療情報化診療支援技術開発講座(整形外科)の長谷井嬢教授(特任)は、学校法人電子学園日本電子専門学校(ゲーム制作科、アニメーション科、アニメーション研究科、コンピュータグラフィックス科、電子応用工学科)と共同で、小児がん患者のための新しいVR(仮想現実)リハビリテーションプログラムを開発しました。小児がんの治療では、長期入院による筋力低下や精神的ストレスから、リハビリの継続が困難になるという深刻な課題があります。
 本研究ではこの課題を解決するため、最新のVR技術とゲーミフィケーション要素を融合させます。新規に、①腕を上げる動作で魔法を放つ「魔法使いコンテンツ」と、②自転車エルゴメーターと連動して仮想空間を走る「自転車コンテンツ」の2種類を開発しました。これらは単調な運動を「楽しいゲーム体験」へと変え、子どもたちが自発的かつ継続的にリハビリに取り組めるよう設計されています。また、個々の患者の身体状況に合わせて運動の負荷や感度を細かく調整できるため、安全で効果的なリハビリが可能です。
この共同研究による画期的な成果は、本年開催される「東京ゲームショウ2025」において、障がいの有無にかかわらず誰もが楽しめるゲームを紹介する新設の「オールアクセシビリティーコーナー」で初めて公開・展示される予定です。

◆研究者からひとこと

小児がんの子どもたちは、病気そのものだけでなく、辛い治療と長期にわたる入院生活という二重の困難に立ち向かっています。特にリハビリは、身体機能の回復に不可欠である一方、痛みや不安から意欲を失いやすいという現実がありました。私はこれまで、AIやメタバース技術を医療に応用する研究を進める中で、テクノロジーが患者さんの心の負担を軽くする大きな可能性を秘めていると確信してきました。
今回のVRリハビリ開発は、その信念を形にしたものです。臨床現場の切実なニーズを私たち岡山大学が提示し、日本電子専門学校が持つ卓越したゲーム開発技術でそれを実現するという、理想的な連携が実を結びました。子どもたちがVRゴーグルをつけた瞬間、病室が冒険の世界に変わり、苦しいはずの動きがゲームをクリアするための楽しい挑戦になる。このプログラムが、子どもたちの笑顔と回復への希望を取り戻す一助となることを心から願っています。東京ゲームショウへの出展を機に、医療とエンターテインメントの融合が創出する、新しい治療の可能性を、社会に広く示していきたいと考えています。

長谷井教授(特任)

<詳しい研究内容について>
“つらい”を“楽しい”に変える! VRリハビリを岡山大学と日本電子専門学校が共同開発


<お問い合わせ>
岡山大学 学術研究院医歯薬学域 
医療情報化診療支援技術開発講座
教授(特任) 長谷井 嬢
(電話番号)086-235-7273

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