国立大学法人 岡山大学

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光エネルギーを活用した新たなマクロラクトン化反応の開発に成功~ラジカルの発生を基盤としたヒドロキシアルデヒドを原料とするマクロラクトン合成~

2025年11月20日

◆発表のポイント

  • マクロラクトンは多様な生理活性物質作用を有することから、さまざまな医薬品に含まれる重要な化合物であり、その効率的な合成手法の開発が求められていました。
  • 今回、光エネルギーを活用したラジカルの発生を基盤とする新たなマクロラクトン化の開発に成功しました。本反応は、これまで利用例の少ないヒドロキシアルデヒドを原料として活用することが可能です。
  • 本研究で開発したマクロラクトン化反応を利用することにより、生理活性作用を有するマクロライド系天然物の効率的な全合成が期待され、将来的な医薬品開発の加速・発展にもつながる可能性があります。

 岡山大学学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)の田中健太助教と、同大学院環境生命自然科学研究科の小滝咲大学院生、安藤早春大学院生(当時)、学術研究院環境生命自然科学学域(理)の髙村浩由准教授、門田功教授らの共同研究グループは、光エネルギーを活用したラジカルの発生を基盤とする新たなマクロラクトン化反応の開発に成功しました。この反応は、これまであまり利用例のなかったヒドロキシアルデヒドを原料として活用し、LED光と臭素化剤を利用することで7~21員環ラクトンを合成することに成功しました。
 本研究成果は2025年11月14日、アメリカ化学会が発行する「Precision Chemistry」にオンライン掲載されました。今後は生理活性作用を有する多様なマクロライド系天然物の効率的な全合成への応用が期待されます。

◆研究者からひとこと

新たなマクロラクトン化反応の開発に成功しました。多様な基質へ適応可能な反応条件の最適化には困難がありましたが、最終的にさまざまなマクロラクトンを合成することができました。大環状化合物の合成に新たなアプローチを提示できたことを嬉しく思います。この成果が、医薬品や天然物の効率的な合成につながり、誰かの健康や幸せを支える一助となれば幸いです。
小滝大学院生

安藤大学院生(当時)

田中助教

■論文情報
論 文 名:Photochemical Macrolactonization of Hydroxyaldehydes via C–H Bromination
掲 載 誌:Precision Chemistry
著  者:Sakura Kodaki, Haru Ando, Hiroyoshi Takamura, Isao Kadota,* Kenta Tanaka**は責任著者)
D O I:doi.org/10.1021/prechem.5c00095
U R L:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/prechem.5c00095

■研究資金
 本研究はJSPS科研費 JP25K18038(若手研究)、公益財団法人ウエスコ学術振興財団の支援を受けて実施しました。

<詳しい研究内容について>
光エネルギーを活用した新たなマクロラクトン化反応の開発に成功~ラジカルの発生を基盤としたヒドロキシアルデヒドを原料とするマクロラクトン合成~

<お問い合わせ>
岡山大学 学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)
助教 田中 健太

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