◆発表のポイント
- ミジンコからヒトまで動物の世界はなぜ「死んだふり」で溢れているのでしょうか?不動を伴う「死んだふり」は古くから博物学者の関心を集めたものの本格的な科学研究が進んだのは近年です。
- 「死んだふり」が生き延びる上で本当に役に立っている行動なのかはダーウィンとファーブルが証明したいと望んだにもかかわらず、2004年まで世界の誰も実証していませんでした。
- 岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の宮竹貴久教授は、動物界に広く見られるにもかかわらず、長年十分な体系化が行われてこなかった捕食者回避行動「死んだふり」について、1990年代後半から世界に先駆けて研究を進め、2001年以来、世界に先駆けてその研究成果を公表し続けてきました。
- このたび世界で初めて「死んだふり」を包括的に整理した英文書籍を刊行することになりました。書籍では、これまでに出版された世界中の動物の「死んだふり」研究を取りまとめて紹介し、さらに自身が甲虫を用いて論文として発信してきた研究成果も紹介しました。
- 不動を伴なう死んだふり行動が、人(ヒト)のPTSD、パーキンソン症候群、トラウマによるフリーズ現象と関わることもわかり、それら一連の研究も書籍としてまとめました。
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の宮竹貴久教授は、動物界に広く見られるにもかかわらず、長らく体系的研究が進んでこなかった捕食者回避行動「死んだふり」を、世界で初めて総合的にまとめた英文書籍を刊行しました。本書は、宮竹教授が25年以上にわたり蓄積してきた研究成果を基盤に、行動学・生理学・分子生物学を横断した学際的視点から「死んだふり」行動を徹底解析し、工学・情報学・医学など異分野の知見も積極的に取り入れ、「死んだふり」研究の「現状」と「未来」を提示する内容となっています。本書では進化的意義、生物群を超えた普遍性、生理的・遺伝的メカニズムをわかりやすく整理し、とくに甲虫類を対象とした実験研究を豊富なデータとともに紹介しています。動物行動の根源に迫る新たな知見を提供する一冊となっています。この書籍は2026年1月3日、Springer Nature Linkにオンライン掲載されました。
◆研究者からひとこと
| 1997年に甲虫を指でつつくと動かなくなる行動が面白い!と思った瞬間から現在まで、「死んだふり」の研究をずっと続けてきました。世界の誰も解明していない現象について、あれやこれやと約30年間調べ続けると、ついに一冊の英語の本になりました。学生の皆さんには、面白い!と思う気持ちを大切にしてほしいです。 | ![]() 宮竹教授 |
■論文情報等
書 籍 名:
Death Feigning
Mechanisms, Behavioral Ecology and Implications for Humans
邦題名「死んだふり:メカニズム、行動生態学、そして人間への示唆」
掲載誌:Springer Nature Link
著者:Takahisa Miyatake
Hardcover ISBN:978-981-95-5318-1
eBook ISBN: 978-981-95-5319-8
U R L: https://link.springer.com/book/9789819553181
■研究資金
本研究は独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「 科学研究費」(研究・25K09771研究代表:宮竹貴久)の支援を受けて実施しました。
<詳しい研究内容について>
“死んだふり”研究の集大成となる英文書籍を刊行―世界初、死んだふり行動を体系的にまとめた決定版―
<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)
教授 宮竹貴久
(電話番号)086-251-8339 (FAX番号)086-251-8388
