岡山大学
龍谷大学
◆発表のポイント
- 微細な繊維粉のエアロゾル吹付けにより、立体構造物を高速に形作る手法を発見した。
- 繊維同士の「摩擦による絡み合い」で構造物が成形されるメカニズムは、世界初の発見であり、オランダの科学学誌Materials & Designに本研究成果が掲載された。
- 繊維の長さ分布が鍵となるこの技術は、長軸構造を持つ短繊維素材に広く適用可能であり、この技術の適用範囲を探索することで、新たな機能性素材を創り出せる可能性がある。
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の于洪武助教(特任)(研究当時。現在、東京科学大学・総合研究院・特任助教)、池田直教授、狩野旬研究教授、龍谷大学先端理工学部の森正和准教授、明渡純(国立研究開発法人産業技術総合研究所・エレクトロニクス基盤技術研究部門・招聘研究員、名古屋大学客員教授、大阪大学招へい教授)と朴載赫(成均館大学・客員教授)からなる国際共同研究チームは、短炭素繊維(長さ0.2 mm未満)を「吹き付ける」だけで、接着剤(バインダー)を用いることなく、高速かつ立体的に成形する新技術「繊維エアロゾル堆積法(Fiber Aerosol Deposition: FAD)」の開発に成功しました。
本技術は、従来の3Dプリンティング技術を大幅に上回る最大0.3 mm/sの垂直成長速度を実現しました。また、その成形メカニズムが、従来のエアロゾル堆積法(AD法)で知られる衝撃固化とは異なり、繊維同士の「摩擦による絡み合い(Frictional Entanglement)」であることを世界で初めて明らかにしました。リサイクル炭素繊維や多様な短繊維素材の有効活用や、水処理フィルター、次世代電極材料などの創製を加速する画期的な成果です。
本研究成果は、2025年12月にオランダの科学学誌Materials & Designに掲載されました。
◆研究者からひとこと
| 偶然発見した現象を、このグループで突き詰めていき、新技術を見つけました。不思議な現象ですが、短い繊維状材料であれば何でも同様の物体形成ができると考えています。将来この技術を使って、今までにない物体が形成されるかもしれません。 | ![]() 池田教授 |
■論文情報
論 文 名:An entangled material made from fiber aerosol deposition method
掲 載 誌:Materials & Design
著 者:Hongwu Yu, Naoshi Ikeda, Masakazu Mori, Jun Kano, Jae-Hyuk Park, Jun Akedo
D O I:10.1016/j.matdes.2025.115195
U R L:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0264127525016168
<詳しい研究内容について>
『絡み合う』だけで材料になる― 短炭素繊維の新しい3D成形法を開発 ―
<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域
教授 池田直
086-251-7810
