赤潮の原因となる植物プランクトン ヘテロシグマは細菌を貪食して増殖する
2026年01月30日
◆発表のポイント
- 赤潮を起こす植物プランクトンのヘテロシグマが、細菌を貪食(細胞が、細菌を包み込むようにして飲み込み、消化すること)して栄養源にすることを発見しました。
- ヘテロシグマが、ポリリン酸という物質を多く持つ細菌を貪食すると、光合成に必要なリン酸塩が少ない海水中でも活発に増殖できることを見出しました。
- この研究は、ヘテロシグマが赤潮となる過程で、細菌を貪食して栄養素としている可能性を初めて示しました。
岡山大学学術研究院先鋭研究領域(資源植物科学研究所)の植木尚子准教授の研究グループは、広島大学・九州工業大学・水産研究教育機構・岡山大学の研究者とともに、ヘテロシグマが海に生息するさまざまな細菌を貪食し、栄養源として増殖できることを見出しました。ヘテロシグマ(学名Heterosigma akashiwo)が細菌を貪食する可能性は知られていましたが、実際に栄養源として利用することは、本研究が初めて示しました。ヘテロシグマ赤潮が発生するには、リンを含む栄養塩が必要とされてきました。グループは、ヘテロシグマが、リン欠乏条件下で、より多くの細菌を貪食すること、そして、特にポリリン酸を多く含む細菌が、リン欠乏条件下でヘテロシグマの増殖を促進することを示しました。
この研究成果は、『ISME Communications』に12月6日付で発表されました。
赤潮とは、ある種の植物プランクトンが高密度で集合し、海水が着色する現象です。なぜ赤潮が起こるのか、その原因についてわかっていないことが多くあります。私たちは、赤潮の原因となる植物プランクトンの一種、ヘテロシグマの環境中での振る舞いについて研究しています。ヘテロシグマは、単細胞の植物プランクトンで、光合成を行います。ヘテロシグマ赤潮が起こると、養殖魚が大量に死ぬなど、漁業に悪影響を与えます。
◆研究者からひとこと
| 本研究は、当時大学院生だった福山誠也さんが頑張って進めてくれました。大変苦労しましたが、4年越しの研究が発表できてうれしいです。 | ![]() 植木准教授 |
■論文情報
論 文 名:Proliferation of a bloom-forming phytoplankton via uptake of polyphosphate-accumulating bacteria under phosphate-limiting conditions
掲 載 誌:ISME Communications, Volume 5, Issue 1, January 2025, ycaf192
著 者:Seiya Fukuyama, Fumiko Usami, Ryuichi Hirota, Ayano Satoh, Shizuka Ohara, Ken Kondo, Yuki Gomibuchi, Takuo Yasunaga, Toshimitsu Onduka, Akio Kuroda, Kazuhiko Koike, Shoko Ueki
D O I:10.1093/ismeco/ycaf192
U R L:https://academic.oup.com/ismecommun/article/5/1/ycaf192/8371785
■研究資金
本研究は、日本学術振興会(科学研究費補助金、21K19148, 23K21236, 25K02346)および日本科学技術機構(J S T、地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム989459)の支援を受けて実施しました。
<詳しい研究内容について>
赤潮の原因となる植物プランクトン ヘテロシグマは細菌を貪食して増殖する
<お問い合わせ>
岡山大学 学術研究院先鋭研究領域(資源植物科学研究所)
准教授 植木 尚子
(電話番号)086-434-1259
