◆発表のポイント
- 熱ストレスにより形成されるSAFB顆粒の形成を抑制する化合物を開発しました。
- 動物実験において、本化合物を用いることで、がん治療法の1つであるハイパーサーミアの抗腫瘍効果が増強されました。
- 研究開発が進むことで、新たなハイパーサーミア増感剤の開発につながることが期待されます。
岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科の古谷優治大学院生、嶋崎菜月大学院生、山田莉瑚大学院生、学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の大槻高史教授、渡邉和則准教授の研究グループは、熱ストレスによって細胞の核内で形成されるSAFB顆粒の形成を抑制する化合物を開発しました。また、動物実験において、本化合物とがん治療法の1つであるハイパーサーミアを併用することで、抗腫瘍効果が有意に増強されることを明らかにしました。この研究成果は、2026年2月18日にアメリカの国際学術誌「Journal of medicinal chemistry」でオンライン公開されました。
ハイパーサーミアは抗がん剤などの化学療法と併用することで治療効果が高まりますが、抗がん剤に伴う副作用や十分な治療効果が得られない場合があることが課題となっています。本研究で開発したSAFB顆粒形成抑制剤は、抗がん剤とは異なる作用機構によりハイパーサーミアの効果を高める可能性があり、治療効果の向上と副作用軽減が期待されます。今後の研究開発により、新たなハイパーサーミア増感剤としての応用、発展が期待されます。
◆研究者からひとこと
| 担がんマウスを用いた実験は初めてだったため不安が大きかったですが、このような成果につながり大変うれしく思います。本研究の成果を糧に、さらなる研究の発展・実用化を目指します。共同研究も大歓迎です。 | ![]() 古谷大学院生 | ![]() 渡邉准教授 |
■論文情報
論 文 名:Discovery of thermal sensitizers that inhibit heat-induced SAFB granule formation
掲 載 誌:Journal of Medicinal Chemistry
著 者:Yuji Furutani, Natsuki Shimasaki, Riko Yamada, Takashi Ohtsuki, Kazunori Watanabe
D O I:https://doi.org/10.1021/acs.jmedchem.5c03361
U R L:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jmedchem.5c03361
■研究資金
本研究は、公益財団法人ウエスコ学術振興財団、公益財団法人天野工業技術研究所の支援を受けて実施しました。また、化合物ライブラリーに関しては国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)生命科学・創薬研究支援基盤事業創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS)の課題番号JP21am0101084の支援を受けました。さらに、岡山大学インパクトの高い国際的な学術誌へのAPC支援を受けています。
<詳しい研究内容について>
ハイパーサーミアの抗腫瘍効果を大幅に向上〜新規ハイパーサーミア増感剤の開発に成功〜
<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域
准教授 渡邉 和則
(電話番号)086-251-8220
(HP)https://www.okayama-u.ac.jp/user/ohtsuki/

