岡山大学
獨協医科大学
◆発表のポイント
- 日本住血吸虫の中間宿主となることで広く知られるミヤイリガイの新亜種を沖縄県西表島の山中の滝で発見し、イリオモテミヤイリガイとして正式に記載・命名しました。
- 日本住血吸虫の感染実験や現地での環境DNA解析の結果、感染の危険性を示す証拠は得られませんでした。
- 今回の新亜種の分布は極端に狭い範囲に限定され、環境省レッドリストの評価基準に照らせば絶滅危惧IA類相当であり、保全措置が強く求められます。
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の福田宏准教授、東京大学大学院理学研究科の澤田直人特任研究員、獨協医科大学大学院医学研究科の桐木雅史講師の共同研究グループは、沖縄県西表島の山中にある滝で未知の巻貝類を発見し、ミヤイリガイ(カタヤマガイ)の新亜種であることを突き止めて、Oncomelania hupensis iriomotensis Fukuda & Sawada in Sawada, Kirinoki & Fukuda, 2026 イリオモテミヤイリガイとして正式に記載しました。
本州・九州のミヤイリガイは日本住血吸虫の中間宿主であり、人体に甚大な被害を与えてきましたが、今回の新亜種に対して感染実験を行い、産地の環境DNAも解析したところ、感染リスクを示すデータは得られませんでした。しかし、潜在的なリスクの評価には引き続き研究が必要です。
ミヤイリガイは水田周辺など低地に産出しますが、新亜種は滝の周囲に限定される点が大きく異なります。分布範囲は著しく狭いため絶滅が危惧され、保全措置が求められます。
これらの研究成果は2月11日、米国の軟体動物学専門誌「Malacologia」に掲載されました。
◆研究者からひとこと
| 今回の新亜種の第一発見者は澤田研究員と同行者です。彼らから現物を受け取り、這っている生貝を漫然と眺めていたら顔がミヤイリガイそっくりだと気づいたので、「すぐDNAを確認してみてくれ、あの貝はミヤイリガイだ」と伝えたら本当にその通りでした。澤田研究員が「なぜ外部形態を見ただけでそこまでわかるんですか、そんなことがありうるんですか」と驚いていたのは私のささやかな自慢です。なお、今回は物が物だけに慎重を期して、日本住血吸虫研究のエキスパートである桐木先生に実験をお願いしました。 | ![]() 福田准教授 |
■論文情報
論 文 名: Oncomelania hupensis iriomotensis n. subsp. (Caenogastropoda: Truncatelloidea: Pomatiopsidae) from waterfalls in Iriomote Island, Okinawa, southern Japan.
掲 載 誌: Malacologia
著 者: Naoto Sawada, Masashi Kirinoki & Hiroshi Fukuda
DOI: https://doi.org/10.4002/040.068.0104
■研究資金
本研究は、日本学術振興会 科学研究費助成事業(19KK0173, 21J22917, 24KJ0045)の支援を受けて実施しました。
<詳しい研究内容について>
西表島でミヤイリガイの新亜種を発見 日本住血吸虫症の心配はありません!
<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)
准教授 福田 宏
(電話・FAX)086-256-7151
東京大学理学系研究科
特任研究員 澤田 直人
(電話)03-5841-4425
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