◆発表のポイント
- 今回発見したイネの輸送体タンパク質OsMGR2は、細胞内から細胞外にマグネシウムを排出する輸送体です。
- OsMGR2はイネの根や節、穎果などで発現し、マグネシウムの根から地上部への転流、節や種子での分配に重要な働きをします。この遺伝子を破壊すると、種子が軽くなり、食味も低下してしまいます。
岡山大学学術研究院先鋭研究領域(資源植物科学研究所)の馬建鋒教授らの研究グループは、同大学術研究院医歯薬学域の宮地孝明教授や農業・食品産業技術総合研究機構の堀清純博士らの研究グループと共同で、イネ種子の発育と食味に関わるマグネシウム輸送体OsMGR2を発見しました。これらの研究成果は4月22日、米国の科学アカデミー発行の機関誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載されました。
マグネシウムは動植物にとって欠かせない必須栄養素です。しかし、土壌中のミネラルがいかに種子まで運ばれるのか、また種子の発育や品質に対するマグネシウムの影響は長い間不明でした。OsMGR2はイネの根や節、穎果などで発現し、マグネシウムを効率よく種子まで輸送するのに機能していることがわかりました。この研究は今後、マグネシウム欠乏耐性イネの育成や高マグネシウム集積のイネ品種の育成に貢献することが期待されます。
◆研究者からひとこと
| この研究は中国湖南農業大学所属の黄勝博士が岡山大学資源植物科学研究所の植物ストレス学グループに所属していた頃に始めたもので、5年以上の年月がかかりました。マグネシウム輸送体とイネの収量、品質を関連付けさせた独創的な研究で、審査員から非常に高い評価をいただきました。彼の日々の努力がこの成果に結びつけました。 | ![]() 馬建鋒教授と黄勝博士研究員(右) |
■論文情報
論 文 名:A magnesium efflux transporter required for seed development and eating quality in rice.
邦題名 「イネの種子発達と食味に必須なマグネシウム排出輸送体」
掲 載 誌:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
著 者:Sheng Huang, Kiyosumi Hori, Naoki Yamaji, Yuma Yoshioka, Min Ning, Yu Nagaya, Takaaki Miyaji, Namiki Mitani-Ueno, Shin-ichiro Inoue, June-Sik Kim, Miho Kashino, and Jian Feng Ma
D O I:10.1073/pnas.2536813123
U R L:https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2536813123
■研究資金
本研究は、主に独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」(基盤S・JP21H05034 研究代表:馬建鋒)の支援を受けて実施しました。
<詳しい研究内容について>
イネ種子の発育と食味に影響するマグネシウム輸送体を発見!
<お問い合わせ>
岡山大学資源植物科学研究所
教授 馬 建鋒
(電話番号)086-434-1209
