◆発表のポイント
- 反復性膀胱炎a)を対象とした乳酸菌膣塗布剤の特定臨床研究を開始しました。
- 以前、岡山大学病院で実施した膣坐剤研究より、少ない回数・短い期間での治療効果を検証します。
- 抗菌薬・ホルモン薬に依存しない再発予防法の普及を目指しています。
近年、閉経関連尿路性器症候群(GSM: Genitourinary Syndrome of Menopause)が提唱されており、閉経後は女性ホルモン低下により膣環境が変化しやすく、外陰部の乾燥、違和感、疼痛だけでなく、膀胱炎をくり返す一因になると考えられています。ホルモンバランスの影響で膣内乳酸菌が減少し、膣内の尿路病原性大腸菌が定着し、膀胱炎が治りにくくなると言われています。
岡山大学学術研究院医療開発領域(岡山大学病院 腎泌尿器科)の定平卓也研究准教授、同領域(岡山大学病院 臓器移植医療センター)の坪井一朗助教(特任)、光井洋介客員研究院(おかやま腎泌尿器科クリニック)、同領域(岡山大学病院 新医療研究開発センター)の渡部昌実教授ならびに学術研究院先鋭研究領域(未来医療)・腎泌尿器科学の荒木元朗教授は、閉経後女性の反復性膀胱炎研究を行い、尿と膣に同じ大腸菌が存在することを明らかにし、膣の環境が膀胱炎再発に深く関わっていることを突き止めました。さらに、1年間の乳酸菌膣坐剤投与が86%の膀胱炎再発を防いだことを報告してきました。
今回、これまで1年間の継続使用で効果が確認された乳酸菌膣坐剤を、外来で医師が直接実施する乳酸菌膣塗布剤に変更し、より少ない回数(8回)・より短い期間(半年)でも同様の効果が得られるかを検証する研究を2026年より開始しました。本研究により、抗菌薬やホルモン薬に頼らない新しい再発予防法として、患者さんの負担を減らしながらも効果の高い、将来的に広く医療現場で活用できる治療方法確立を目指します。また、今後はGSMに対する乳酸菌の効果について発展的に検証していきたいと考えております。
◆研究者からひとこと
| ホルモンバランスの変化がきっかけで、膀胱炎を何度も繰り返し、つらい思いをされている多くの方々を診察してきました。抗菌薬を繰り返し飲むことやホルモン治療に対して不安を感じたり、副作用で治療継続できない方々も少なくありません。私たちは、これまでとは違う新しい方法で再発を防ぐことができないか、研究を進めています。将来、安心して続けられる治療の選択肢の一つとなることを目指しています。お気軽にご相談ください。 | ![]() 坪井一朗 助教(特任) |
<詳しい内容について>
くり返す膀胱炎に、塗る乳酸菌治療~抗菌薬・ホルモン薬に依存しない新たな予防治療法の確立へ~
<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医療開発領域(岡山大学病院 腎泌尿器科)
研究准教授 定平卓也
(電話番号)086-235-7287
