体を“サビ”から守る仕組みが、腎臓の健康維持の鍵に
2026年07月17日
岡山大学
東京大学医科学研究所
◆発表のポイント
- 酸化ストレスから体を守るタンパク質の働きが弱いラットで、慢性腎臓病が自然に進行することを発見しました。
- 腎臓でミトコンドリアの異常、細胞死、炎症、線維化がおきることが明らかになりました。
- 慢性腎臓病の新しい治療法の開発に役立つ動物モデルになることが期待されます。
岡山大学学術研究院教育学域(特別支援教育)の大守伊織教授、学術研究院医療開発領域(岡山大学病院 腎臓・糖尿病・内分泌内科)の内田治仁教授(特任)ならびに東京大学医科学研究所 先進動物ゲノム研究分野の真下知士教授らの研究グループは、細胞が“サビつく”ような酸化ダメージから体を守るタンパク質「チオレドキシン」の働きが弱くなると、慢性腎臓病が自然に進行することを、ラットを用いて明らかにしました。このラットでは、腎臓の働きが少しずつ悪くなり、尿タンパク、高血圧に加え、腎機能の低下につながる線維化が認められるなど、人の慢性腎臓病に似た変化がみられました。さらに、腎臓の細胞でエネルギーを作るミトコンドリアの異常、細胞死、炎症が重なって起こることも分かりました。本研究成果は、2026年6月12日にTranslational Research誌にオンライン掲載されました。
慢性腎臓病は、日本でも成人のおよそ5人に1人が該当するとされる身近な病気です。今回見つかったラットは、慢性腎臓病が進む仕組みを調べる新しいモデルとなり、将来、酸化ダメージやミトコンドリアを標的とした治療法の開発に役立つことが期待されます。
◆研究者からひとこと
| 慢性腎臓病は、気づかないうちに進行し、最終的には透析や腎移植が必要になることもある重大な病気です。私たちは真下教授とともに、もともと神経症状を示すラットを調べていましたが、長期間観察する中で、腎臓に非常に強い変化が起こることに気づきました。今回の成果は、体をサビ(酸化ストレス)から守る仕組みが、腎臓の健康維持にどれほど重要かを示すものです。このモデルを活用して、共同研究を推進し、慢性腎臓病の進行を止める新しい研究につなげたいと考えています。 | ![]() 大守教授が飼育している 新規モデルラット |
■論文情報
論 文 名:A novel spontaneous rat model of chronic kidney disease with mitochondrial dysfunction driven by thioredoxin insufficiency
掲 載 誌:Translational Research
著 者:Iori K. Ohmori, Mamoru Ouchida, Yoshiko Hada, Haruhito A. Uchida, Shinya Toyokuni, Tomoji Mashimo.
D O I:10.1016/j.trsl.2026.06.003
U R L:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1931524426001143
■研究資金
本研究は、科学研究費助成事業(JP22K07914)、東京大学医科学研究所共同利用・共同研究拠点事業(2022-2011、2025-1156)、学術変革領域研究 学術研究支援基盤形成(先端モデル動物支援プラットフォーム)の支援を受けて実施しました。
<詳しい研究内容について>
体を“サビ”から守る仕組みが、腎臓の健康維持の鍵に
<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院教育学域(特別支援教育)
教授 大守(川﨑) 伊織
(電話番号)086-252-1111(FAX)086-251-7755
東京大学医科学研究所
附属実験動物研究施設 先進動物ゲノム研究分野
教授 真下 知士
(電話番号)03-6409-2228
<広報に関するお問い合わせ>
岡山大学総務部広報課
(電話番号)086-251-7292
東京大学医科学研究所
プロジェクトコーディネーター室(広報)
(電話番号)090-9832-9760
