国立大学法人 岡山大学

LANGUAGE
ENGLISHCHINESE
MENU

子宮腺形成過程で見られる“伸びる”仕組みを3次元培養系を用いて解明~より体内に近い子宮内膜の体外再現に向けて前進~

2026年07月31日

◆発表のポイント

  • 体内に近い環境で培養したウシ子宮腺は、通常、球状構造を形成しますが、細胞増殖を刺激する上皮成長因子の存在下では、伸長し管状構造を形成することを発見しました。
  • さらに、子宮内膜にも含まれるⅠ型コラーゲンを混ぜて培養することで、管状構造の伸長が促進されることを明らかにしました。
  • 本成果は、子宮腺の伸長を制御する仕組みの解明、さらには、子宮内膜の体外再現をはじめとしたヒトの不妊治療や家畜の受胎率向上を目指した新しい技術開発に貢献します。

 岡山大学大学院環境生命自然科学研究科博士後期課程3年の杉野耀亮大学院生と、学術研究院環境生命自然科学学域(農)の河野光平助教、木村康二教授らのグループは、ウシ子宮内に存在する分泌組織「子宮腺」がどのようにして伸長するのかを、体内に近い環境を再現した3次元培養法を用いて検証し、その形態制御の仕組みの一端を明らかにしました。
 通常、3次元培養したウシ子宮腺は球状構造を形成しますが、本研究において、細胞増殖を刺激する上皮成長因子を与えることで、3次元培養したウシ子宮腺が伸長し、体内での構造によく似た管状構造を形成することを発見しました。さらに、子宮内膜にも含まれるⅠ型コラーゲンを混ぜることで、その伸長が促進することを見出しました。子宮腺の伸長は、細胞増殖や周囲の細胞の足場となる物質(細胞外基質)との相互作用によって制御されることを明らかにしました。
 これらの研究成果は6月8日、「Bioscience Reports」に掲載されました。本成果は、子宮腺の伸長を制御する仕組みの解明に加え、子宮腺を含む従来よりも体内に近い子宮内膜の体外再現、さらには、家畜動物の受胎率向上やヒト不妊治療を目指す新規技術開発への貢献が期待されます。

◆研究者からひとこと

 体の中の臓器や組織がどのように形作られるのか、まだまだ解明されていないことは沢山あります。本研究では、そのプロセスを培養皿の上で再現しようと試みました。これからも顕微鏡越しに、その仕組みを一つずつ明らかにしていきたいと思います!
杉野大学院生

■論文情報
論 文 名:Tubulogenesis of bovine uterine glands by epidermal growth factor and collagen Ⅰ in 3D culture systems
掲 載 誌:Bioscience Reports
著  者:Yosuke Sugino, Rei Ichikawa, Shuichi Matsuyama, Yuki Yamamoto, Kohei Kawano, Koji Kimura
D O I:10.1042/BSR20260010
U R L:https://doi.org/10.1042/BSR20260010

■研究資金
 本研究は独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「特別研究員奨励費」(23KJ1614)および「科学研究費」(17K19322、19H03105、25K02156)の支援を受けて実施しました。

<詳しい研究内容について>
子宮腺形成過程で見られる“伸びる”仕組みを3次元培養系を用いて解明~より体内に近い子宮内膜の体外再現に向けて前進~


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域 (農)
教授 木村 康二
(電話番号)086-251-8349

年度