がん性腹膜炎治療の新たな選択肢〜進行卵巣がんに対する腹腔内化学療法が保険適用に〜
2026年07月31日
◆発表のポイント
- 本学教授らの研究がきっかけとなり、2025年12月に進行卵巣がん(以降、卵管がん、腹膜がんを含む)に対するカルボプラチンの腹腔内投与が保険適用になりました。
- 2026年5月より岡山大学病院で、カルボプラチンの腹腔内投与を行うdose dense TCip(ドーズデンスTCアイピー)療法を開始しました。
- 2026年1月から開始した広汎腹膜切除術とともに、卵巣がんにおけるがん性腹膜炎治療の切り札となることが期待されます。
日本初の進行卵巣がん(以降、卵管がん、腹膜がんを含む)の新たな治療戦略であるカルボプラチン腹腔内投与が従来の治療よりも再発のリスクを約17%減らすことがiPocc(アイポック)試験で明らかとなり、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)の長尾昌二教授(特任)らが2023年英文医学雑誌のNew England Journal of Medicine Evidenceに報告しました。このデータを元にヴィアトリス・ヘルスケア合同会社と日本化薬株式会社が申請手続きを進め、2025年12月に進行卵巣がんに対するカルボプラチン腹腔内投与が静脈内点滴投与に加えて新たな投与ルートとして保険承認されました。
岡山大学病院では臨床実装に向けて準備を急いでいましたが、2026年5月より患者さんへの投与を開始しました。現在までに4人の患者さんにカルボプラチン腹腔内投与を実施しています。カルボプラチン腹腔内投与は、2026年1月より開始している広汎腹膜切除術(病変のある腹膜を広範囲に切除する手術)とともにがん性腹膜炎を有する進行卵巣がんに対する治療の切り札になることが期待されます。
◆研究者からひとこと
| 論文が公表されてから3年も経ってしまいましたが、やっと患者さんに治療を届けることができました。 | ![]() 長尾教授(特任) |
■論文情報
論 文 名:Intraperitoneal Carboplatin for Ovarian Cancer – A Phase 2/3 trial -
掲 載 誌:New England of Medicine Evidence
著 者:Shoji Nagao, Keiichi Fujiwara, Kouji Yamamoto, Hiroshi Tanabe, Aikou Okamoto, Kazuhiro
Takehara, Motoaki Saito, Hiroyuki Fujiwara, David S.P. Tan, Satoshi Yamaguchi, Sosuke
Adachi, Akira Kikuchi, Takeshi Hirasawa, Takeshi Yokoi, Tomonori Nagai, Toyomi Sato,
Shoji Kamiura, Akira Fujishita, Wong Wai Loong, Karen Chan, Peter Syks, Alexsander
Olawaye, Sang-Young Ryu, Hiroyuki Shigeta, Eiji Kondo, Yoshihito Yokoyama, Takashi
Matsumoto, Kosei Hasegawa, Takayuki Enomoto
D O I:10.1056/EVIDoa2200225
U R L:https://evidence.nejm.org/doi/full/10.1056/EVIDoa2200225
<詳しい研究内容について>
がん性腹膜炎治療の新たな選択肢〜進行卵巣がんに対する腹腔内化学療法が保険適用に〜
<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域周産期医療学講座
教授(特任) 長尾 昌二
(電話番号)086-235-7320
(FAX)086-225-9570
