国立大学法人 岡山大学

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プレート内の“見えない水の流れ”が深発地震とプレート大変形を制御していることを発見

2026年08月03日

◆発表のポイント

  • 沈み込むプレートの内部では、鉱物どうしが“水を受け渡す”動きをしており、その水の移動が深発地震やプレートの大きな変形に深く関わっていることがわかりました。
  • プレートの中心部では主要鉱物が水を失って乾き、外側では逆に水を放出した鉱物によって潤うという、“水の濃いところと薄いところ”ができる仕組みを実験で確認しました。
  • 地球の最深部(約700 km)で起きる深発地震は、水を含んだ鉱物が一気に水を放出する反応によって引き起こされる可能性があることを示しました。

 岡山大学学術研究院先鋭研究領域(惑星物質研究所)の石井貴之准教授と、中国・北京大学および北京高圧科学研究中心の国際研究チームは、高温高圧実験により沈み込むプレート内部の環境を再現し、プレート内部での“水の移動”が深発地震の発生に大きく関わることを明らかにしました。この成果は7月3日、英国の地球科学誌「Nature Communications」に掲載されました。
 深さ400〜700 kmで起きる深発地震の原因は長年の謎でした。本研究では、プレートを構成する岩石の高温高圧条件を再現し、鉱物間での水の受け渡しを調べました。その結果、低温のプレート中心部では水を蓄える特殊な鉱物に水が集中し、主要鉱物はほとんど水を含まない一方、周囲の高温部では水を蓄える鉱物が徐々に脱水し、その水が主要鉱物へ移ることで、プレート内部に“主要鉱物内の水の濃淡”が生じることがわかりました。この水分布の違いが、深発地震の発生位置や、プレートが660 km付近で停滞する現象を説明できることが示されました。また、最深部(約700 km)の地震は、水を蓄える鉱物が急激に分解して水を放出する「脱水反応」が引き金となる可能性も示唆されました。本成果は、地球内部の水循環や深発地震の理解を大きく前進させるものです。

◆研究者からひとこと

今回の成果は、この5年間積み重ねてきた研究の集大成です。今まで直接捉えることができなかった“鉱物間の水のやり取り”の挙動をどのようにすれば立証できるのか、条件を少しずつ変え、実験を繰り返す中で思いつきました。自分が立てた仮説を立証できたと確信したときには胸が高鳴りました。AIが瞬時に答えを返す便利な時代ですが、じっくり悩み、試行錯誤を繰り返す研究には独特の面白さがあります。時間をかけて考え抜くからこそ見える景色があり、そのプロセスこそが研究の醍醐味だと感じています。
石井准教授


■論文情報
論文名:Water exchange process and bulk composition regulate slab dynamics and deep earthquakes
掲載誌:Nature Communications
著者名:Jintao Zhu, Renbiao Tao, Lifei Zhang, Takayuki Ishii
DOI:https://doi.org/10.1038/s41467-026-74842-y
URL:https://www.nature.com/articles/s41467-026-74842-y

<詳しい研究内容について>
プレート内の“見えない水の流れ”が深発地震とプレート大変形を制御していることを発見

<お問い合わせ>
岡山大学 学術研究院先鋭研究領域(惑星物質研究所)
准教授 石井貴之
(電話番号)0858-43-3754 (FAX)0858-43-2184

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