岡山大学
国立研究開発法人物質・材料研究機構
◆発表のポイント
- トポロジカル超伝導体は次世代量子コンピューターなどへの応用が期待されています。
- 本学の研究グループは、一つの物質において複数のトポロジカル超伝導相を発見しました。
- 本研究成果により、トポロジカル超伝導の基礎的な理解が深まるとともに、次世代量子コンピューターへの応用が加速することが期待されます。
岡山大学大学院環境生命自然科学研究科の小川晟吾大学院生と、その指導教員である同学術研究院環境生命自然科学学域の鄭国慶教授らの研究グループは、高温で実現する超伝導体K2Cr3As3において複数のスピン三重項状態が実現すること、また磁場や温度でトポロジカル超伝導状態を制御できることを発見しました。本研究成果は8月20日に米国物理学会速報誌「Physical Review Letters」に掲載されます。また、Editors’ Suggestion(注目論文)に選ばれ、解説記事も出る予定です。トポロジカル超伝導体は従来の超伝導体とは異なり、その表面や渦糸中心の電子状態が次世代の量子コンピューターに応用できます。一つの物質で複数のトポロジカル相を発見したことで、本研究成果は産業応用に向けての材料基礎を築くものとして注目されています。
◆研究者からひとこと
| K2Cr3As3はスピン三重項超伝導体(候補も含め)の中で最高の超伝導転移温度を示し、唯一、ヘリウムの液化温度を上回ります。しかし本物質の単結晶を育成する難易度は極めて高く、安定して大型単結晶を育成できるまでに多くの労力を要しました。また、核磁気共鳴法による精密物性測定と綿密な検証を重ね、ようやく今回の成果を得ることができました。K2Cr3As3が示す多様な超伝導相は豊かな物理を含んでいることはもちろん、次世代量子デバイスへの応用にも貢献が期待されます。我々は今後も本物質が示す新奇な超伝導状態の解明を目指していきます。 | ![]() 鄭教授(左)と小川大学院生 |
■論文情報
論文名:Multiple Phases in K2Cr3As3: A Playground for Manipulating Topological Superconductivity
掲載誌:Physical Review Letters
著 者:小川晟吾、三好智己、内田早紀、俣野和明、川崎慎司、稲田佳彦、鄭国慶
D O I:https://doi.org/10.1103/kykd-2nj4
U R L:https://doi.org/10.1103/kykd-2nj4
■研究資金
本研究は、科研費(No. 19H00657, No. 22H04482, No. 26K07015)及び岡山工学振興会の支援を受けて実施しました。
<詳しい研究内容について>
高温トポロジカル超伝導を制御する舞台と手法を発見
<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域
(理学部物理学科)
教授 鄭 国慶
(電話番号)086-251-7813
(FAX)086-251-7830
