東京大学
東京情報大学
玉川大学
東京農業大学
岡山大学
◆発表のポイント
- 昆虫のコクヌストモドキを用いて運動活性の異なる系統を人為的に作り出し、運動活性の違いに伴って寿命や繁殖形質、さらには遺伝子発現パターンまで変化することを明らかにしました。
- これまで理論的に提唱されてきた「行動と生活史形質が連動して進化する(pace-of-life syndrome: POLS)」という仮説を、人為選抜とトランスクリプトーム解析を組み合わせることで実験的に検証し、その分子基盤まで示した点が新しい成果です。
- 本研究は、多くの動物が示すPOLSの進化において運動活性が重要であることを示唆し、進化生物学や行動生態学の発展に貢献するとともに、将来的には行動と生活史の個体差が進化するメカニズムの解明につながることが期待されます。
東京大学大学院総合文化研究科の松村健太郎助教、東京情報大学の田中啓介准教授、玉川大学の佐々木謙教授、東京農業大学の下村健司教授、岡山大学の宮竹貴久教授らの研究グループは、昆虫の運動活性に対する人為選抜が、寿命や繁殖だけでなく、数千個の遺伝子の発現パターンにまで影響を及ぼすことを明らかにしました。運動活性の高い系統では寿命が短く、卵の孵化率にも違いが認められ、さらにトランスクリプトーム解析によって代謝や細胞機能に関わる遺伝子群の発現変化が確認されました。これまで「行動と寿命は連動して進化する」とする仮説は主に理論や表現型レベルに基づいて議論されてきましたが、本研究は人為選抜実験と網羅的な遺伝子発現解析を組み合わせることで、その分子基盤を実験的に示しました。本成果は、動物の行動や生活史の関係がどのような仕組みで進化するのかを理解するための重要な手掛かりとなることが期待されます。
■論文情報
雑誌名:Proceedings of the National Academy of Sciences
題 名:Integrating experimental evolution and transcriptomics reveals the phenotypic and molecular architecture of the pace-of-life syndrome(米国東部夏時間8/11付公開)
著者名:Kentarou Matsumura, Keisuke Tanaka, Ken Sasaki, Kenji Shimomura, Takahisa Miyatake
DOI:10.1073/pnas.2610487123
URL:https://doi.org/10.1073/pnas.2610487123
■研究資金
本研究は、独立行政法人日本学務振興会(JSPS)科研費「研究活動スタート支援(課題番号:22K20664)」、「若手研究(課題番号:23K14264)」、東京農業大学 生物資源ゲノム解析拠点共同研究助成の支援により実施されました。
<詳しい研究内容について>
太く短い生涯か細く長い生涯かは運動活性次第――昆虫におけるpace-of-lifeシンドロームとその分子基盤を解明――
<お問い合わせ>
<研究内容について>
東京大学大学院総合文化研究科
助教 松村 健太郎(まつむら けんたろう)
<機関窓口>
東京大学大学院総合文化研究科・教養学部 広報室
Tel:03-5454-6306
東京情報大学 企画調整課
TEL:043-236-4704/FAX:043-236-2601
玉川学園 教育情報・企画部広報課
Tel:042-739-8710
東京農業大学 学長室 企画広報課
TEL: 03-5477-2650
岡山大学総務部 広報課
Tel:086-251-7292