国立大学法人 岡山大学

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ウイルス再感染防御に必須のIgG抗体が長期間維持される仕組みを解明― 一度で、長く守る 次世代ワクチンへの挑戦 ―

2026年09月07日

大阪大学
岡山大学
東京大学

【研究成果のポイント】

  • ウイルス再感染防御に必須であるIgG抗体を産生する細胞が、IgM抗体を産生する細胞よりも優先的に骨髄の長寿命プラズマ細胞※1となる分子的な仕組みを解明
  • 免疫応答においてIgG抗体がIgM抗体よりも長期間血中に維持される仕組みは明らかになっていなかったが、IgG型B細胞受容体(BCR)の抗原提示能力の高さやIgM型BCRのシグナルによる細胞死誘導などの仕組みの組み合わせがIgG抗体の優位性につながっていることを示した
  • IgG型細胞の誘導やBCRシグナルの制御を通じて、効果が長期間持続するワクチン開発につながることに期待

 大阪大学免疫学フロンティア研究センター(IFReC)の田井優貴特任研究員 (現: 感染症総合教育研究拠点(CiDER)特任助教(常勤))、小池拓矢特任研究員 (現: 東京大学国際高等研究所新世代感染症センター(UTOPIA)特任助教)、黒﨑知博特任教授 (現: 岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 特命教授)らの研究グループは、IgG抗体を産生する細胞が、IgM抗体を産生する細胞よりも優先的に骨髄の長寿命プラズマ細胞となる、IgG抗体優位性の分子メカニズムを世界で初めて明らかにしました (図)。
 感染やワクチン接種後の免疫応答では、初期にはIgM抗体が多く産生されますが、その後、血中抗体の中心はIgG抗体へと移っていきます。感染やワクチン接種から長期間が経過した後も、ウイルスなどに対するIgG抗体は血中に維持され、感染防御に重要な役割を果たします。しかし、なぜIgG抗体がIgM抗体よりも長期間維持されるのか、その仕組みは明らかになっていませんでした。
 今回、研究グループは、① IgG型B細胞に発現するIgG型B細胞受容体(BCR)はIgM型BCRよりもT細胞への抗原提示の能力が高く、その結果、B細胞がプラズマ細胞へと分化した後の増殖が促進されること、② IgM型BCRから伝わるシグナルは、細胞死をより強く誘導すること、③ IgG型プラズマ細胞は長期生存の場である骨髄へ効率よく移動することを明らかにしました。これら3つの仕組みが組み合わさることで、IgG抗体を産生する長寿命プラズマ細胞が選択的に増加し、IgG抗体が長期間維持されることが示されました。本研究成果により、IgG型細胞の誘導やBCRシグナルの制御を通じて、効果が長期間持続する新たなワクチンの開発につながることが期待されます。
 本研究成果は、米国科学誌「Science Immunology」に、9月5日(土)3時(日本時間)に公開されます。
 本研究成果について、9月4日(金)14時からオンラインにて記者発表を行います。是非ともご取材くださいますよう、よろしくお願いいたします。

【黒﨑教授のコメント】

IgG抗体がIgM抗体より長く維持され感染防御(特にウイルス再感染)に重要であることはよく知られていましたが、その理由はわかっていませんでした。本研究では、抗体のクラスが、抗体産生細胞の増殖、生存、骨髄への移動を制御し、骨髄に形成される長寿命プラズマ細胞の数を左右することを明らかにしました。長く効果が続くワクチンの開発につながることを期待しています。

■論文情報
 本研究成果は、2026年9月5日(土)3時(日本時間)に米国科学誌「Science Immunology」(オンライン)に掲載されます。

タイトル: “Positive selection of IgG over IgM plasma cells through BCR isotype-specific antigen presentation and signaling”
著者名: Yuki Tai1,2,†, Takuya Koike1,2,3,†,*, Hiromi Yamamoto1, Kyoko Shida1, Niklas Engels4, Takeshi Inoue3,5, Wataru Ise2, Jürgen Wienands4, & Tomohiro Kurosaki1,6,7,8,* (†筆頭著者)(*責任著者)
著者名: Yuki Tai1,2,†, Takuya Koike1,2,3,†,*, Hiromi Yamamoto1, Kyoko Shida1, Niklas Engels4, Takeshi Inoue3,5, Wataru Ise2, Jürgen Wienands4, & Tomohiro Kurosaki1,6,7,8,* (†筆頭著者)(*責任著者)
所属:1大阪大学免疫学フロンティア研究センター 分化制御研究室
2大阪大学感染症総合教育研究拠点 感染症・生体防御研究部門 生体応答学チーム
3東京大学国際高等研究所新世代感染症センター(UTOPIA)分子免疫システム分野
4 University Medical Center Göttingen、Institute of Cellular and Molecular Immunology
5東京大学医科学研究所国際ワクチンデザインセンター
6理化学研究所生命医科学研究センター 分化制御研究チーム
7大阪大学感染症総合教育研究拠点
8岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科

DOI:https://doi.org/10.1126/sciimmunol.aee8841

■研究資金等
 なお、本研究は、大塚製薬、日本財団、日本学術振興会科学研究費助成事業、日本医療研究開発機構(AMED SCARDAワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業(ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点群 東京フラッグシップキャンパス(東京大学新世代感染症センター)、大阪府シナジーキャンパス(大阪大学ワクチン開発拠点))、ワクチン・新規モダリティ研究開発事業(100日でワクチンを提供可能にする革新的ワクチン評価システムの構築))、武田科学振興財団の支援を受けて行われました。
 図はBioRenderを用いて作成しました。

<詳しい研究内容について>
ウイルス再感染防御に必須のIgG抗体が長期間維持される仕組みを解明― 一度で、長く守る 次世代ワクチンへの挑戦 ―


<お問い合わせ>
<研究に関するお問い合わせ>
黒﨑 知博 (くろさき ともひろ)
大阪大学免疫学フロンティア研究センター 招へい教授
岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 特命教授
TEL: 086-235-7839

小池 拓矢 (こいけ たくや)
東京大学国際高等研究所新世代感染症センター(UTOPIA) 特任助教
TEL: 03-5449-5333

<広報に関するお問い合わせ>
大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 企画室広報担当
TEL: 06-6879-4929    FAX: 06-6879-4272

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