国立大学法人 岡山大学

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生物はダイバーシティ~よく似たマウスとラットでも遺伝子の使い方は違っていた~

2026年09月15日

◆発表のポイント

  • よく似たマウスとラットでも、同じ成長ホルモン遺伝子の使い方が大きく異なることを発見しました。
  • マウスの免疫組織では、これまで知られていなかった成長ホルモン遺伝子の新しい転写産物を発見しました。
  • 一方ラットでは、対応する転写産物は機能する成長ホルモンを作れない構造であり、免疫組織での成長ホルモン遺伝子の働き方にも種差がある可能性が示されました。
  • 本研究は、生物の多様性や、成長ホルモンによる免疫制御の進化を理解する新たな手がかりとなる成果です。

 マウスとラットは、見た目だけでなく遺伝子もよく似ており、生命科学研究で広く利用されている実験動物です。しかし今回、この近縁な2種でも、同じ遺伝子の使い方が異なることが明らかになりました。
 岡山大学大学院環境生命自然科学研究科博士後期課程の竹内優羽大学院生と岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(理学部生物学科)の竹内栄教授らの研究グループは、体の成長や免疫機能に関わる成長ホルモン遺伝子に着目しました。マウスの脾臓などの免疫組織で発現する成長ホルモン遺伝子を詳しく解析したところ、脾臓や骨髄では、これまで知られていなかった新しい転写産物が作られ、その転写産物から機能する成長ホルモンが作られる可能性が高いことを明らかにしました。一方、ラットでも同じ領域から転写産物は作られていましたが、その構造はマウスとは異なり、機能する成長ホルモンは作られない可能性が高いことを示しました。これらの結果は、免疫組織における成長ホルモン遺伝子の働き方にも種差がある可能性を示すとともに、近縁な動物でも共通の遺伝子を異なる方法で利用していることを示唆しています。
 本研究は、生物の多様化を、遺伝子の使い方の違いという観点から理解する新たな手がかりとなるとともに、免疫組織における成長ホルモンの働きにも動物種による違いがある可能性を示した成果です。本研究成果は、2026年8月5日に国際学術誌「General and Comparative Endocrinology」オンライン版に掲載されました。

◆研究者からひとこと

 マウスとラットは、ひとくくりに「ネズミ」と呼ばれるほど、よく似た動物です。しかし今回、共通の成長ホルモン遺伝子を持ちながらも、その一部の構造の違いによって、機能するホルモンを作れるかどうかが異なることが分かりました。両者は、まさに「似て非なる動物」だと改めて実感しました(共同第1著者・竹内優羽大学院生)。
 私たちは、よく似た動物であれば、遺伝子の働き方も同じだと思いがちです。しかし、生物は私たちの予想以上に多様で、共通の遺伝子でも使い方はさまざまです。この研究をきっかけに、「多様性(ダイバーシティ)」は、生物が本来もつ豊かさの表れなのだと感じてもらえたら嬉しく思います(竹内 栄教授)。

■論文情報
論 文 名:Alternative transcription of the mouse Gh gene identifies an immune-associated transcript with species-specific structural divergence
掲 載 誌:General and Comparative Endocrinology
著  者:Ai Fukushima, Yu Takeuchi, Hibiki Fukuchi, Sakura Egoshi, Hirotaka Sakamoto, Sayaka Aizawa, Sakae Takeuchi(福島愛さんと竹内優羽さんは共同第1著者)
D O I:10.1016/j.ygcen.2026.114996
U R L: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0016648026001231

■研究資金
本研究は、科学研究費補助金の支援を受けて実施しました(基盤研究C:16570054)。

<詳しい研究内容について>
生物はダイバーシティ~よく似たマウスとラットでも遺伝子の使い方は違っていた~


<お問い合わせ>
岡山大学 学術研究院環境生命自然科学学域(理)
教授 竹内 栄
(電話番号)086-251-7868
(FAX) 086-251-7876

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