国立大学法人 岡山大学

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メタバースで小児・AYA患者さんに「行けなかった修学旅行」を届ける ―京都・建仁寺の特別な許可を得て 法堂と双龍図をバーチャル空間に再現―

2026年09月15日

◆発表のポイント

  • 病室から京都・建仁寺へ: 長期の治療のために修学旅行などに参加できない小児・AYA世代の患者さんが、アバターとなってメタバース上の建仁寺「法堂(はっとう)」を訪れます。
  • 実測データに基づく再現: 建仁寺の特別な許可のもとで法堂の外観・内部を撮影し、天井画「双龍図」を含む空間を再現しました。
  • 患者さんだけの特別な体験: 本空間は一般には公開せず、全国33施設から参加する治療中の患者さんに限定して提供します。「行けなかった場所」を「自分たちだけが行ける場所」へと転換します。

 岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)医療情報化診療支援技術開発講座の長谷井嬢教授(特任)(整形外科)は、臨済宗建仁寺派 大本山 建仁寺(京都市東山区)の協力を得て、メタバース上に建仁寺「法堂」を再現したバーチャル空間を開発しました。長期の治療により修学旅行などに参加できない小児・AYA(思春期・若年成人)世代の患者さんに向けて、「バーチャル修学旅行」として特別な体験を提供します。修学旅行は、多くの子どもたちにとって学校生活の中でも特別な意味を持つ行事です。しかし、がんなどで長期入院や集中的な治療を続ける患者さんは、厳重な感染管理や体力・免疫力の低下により、参加を断念せざるを得ないことが少なくありません。行事は学年に一度きりで、治療を終えてからやり直すことはできず、同世代との話題や思い出の共有からも遠ざかってしまいます。
 今回、建仁寺の特別な許可のもとで法堂の外観と内部、天井に描かれた「双龍図」、加えて建仁寺で展示されている俵屋宗達筆「風神雷神図屏風」の高精細複製作品などを撮影し、そのデータをもとにバーチャル空間を制作しました。岡山大学病院を含む全国33の病院および連携施設から患者さんが参加し、自分のペースで、また全国の仲間と一緒に堂内を見学することができます。さらに本空間は一般には公開せず、治療中の患者さんに限定して開放していただくことについて、建仁寺の承諾を得ています。「みんなが行った修学旅行に行けなかった」という体験を、「自分たちだけが訪れることのできる場所がある」という体験へと転換することを目指します。

◆研究者からひとこと

修学旅行に行けなかった、という言葉を、私たちは診療の場で何度も聞いてきました。治療そのものの苦しさとは別に、同世代と同じ時間を過ごせないことが、患者さんの心に長く残ります。私たちはこれまで、メタバースを通じて『一人ではない』と感じ合える居場所づくりを続けてきました。今回、京都最古の禅寺として知られる建仁寺様から、法堂の撮影と、患者さんに限ってのバーチャル公開という格別のご配慮をいただけたことに、心より感謝申し上げます。八百年以上の歴史を受け継ぐ建仁寺の文化空間を、病室にいる患者さんに開いてくださったことの意味は、とても大きいと感じています。この空間は誰でも入れる場所ではありません。治療をがんばっている患者さんだけが訪れることのできる、特別な場所です。『ここでしか行けない』特別な体験を届けられるよう、今後も取り組んでまいります。
長谷井教授(特任)

■研究資金
本取り組みは、クラウドファンディング「入院中でも全国と繋がれる!小児・AYA世代がん患者さんのためのメタバース」資金、公益財団法人 日本生命財団 の支援を受けて実施しました。

※本件について建仁寺へのお問い合わせはお控えください。

<詳しい研究内容について>
メタバースで小児・AYA患者さんに「行けなかった修学旅行」を届ける ― 京都・建仁寺の特別な許可を得て 法堂と双龍図をバーチャル空間に再現 ―


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医) 医療情報化診療支援技術開発講座
教授(特任) 長谷井 嬢
(電話番号)086-235-7273

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