国立大学法人 岡山大学

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「免疫のブレーキ」が効かない?急性発症自己免疫性肝炎でPD-1に対する自己抗体を発見

2026年10月01日

◆発表のポイント

  • 自分の免疫力が暴走して自分の肝細胞を壊してしまう自己免疫性肝炎の中に急速に悪化する急性発症型と呼ばれる予後不良の病態があり、早期発見、早期治療の必要性が高いとされています。
  • 免疫力を抑える働きをもつ免疫チェックポイント分子の一つであるPD-1に対する抗体が急性発症自己免疫性肝炎患者の血清中に高率に陽性となっていることを発見しました。
  • 抗PD-1抗体の測定が、急性発症自己免疫性肝炎の早期診断・早期治療開始の診断マーカーとして役立つ可能性があります。

難治性肝疾患の一つである自己免疫性肝炎の中には、急に発症してみるみる状態が悪くなる急性発症自己免疫性肝炎と呼ばれる状態が含まれます。このような場合、慢性的にじわじわと状態が悪くなっていく慢性自己免疫性肝炎で一般的に診断の参考にされている抗核抗体や免疫グロブリンG(IgG)といった免疫異常を反映するデータ異常を認めず、診断をつけることが難しいことがあります。また急速に状態が悪化していくので治療を急ぐ必要があります。
岡山大学学術研究院医歯薬学域の高木章乃夫教授(特任)は、本研究において、このような症例で血中の抗PD-1自己抗体が高値になることを明らかにしました(Hepatology International誌,2026年9月)。PD-1は免疫チェックポイント分子と呼ばれる免疫の働きを抑える分子で、自己抗体がこの分子の働きを抑えて、免疫が異常に活性化して、肝炎を起こすものと考えられます。このような結果は今まで報告されておらず、診断・治療に苦慮することがある急性発症自己免疫性肝炎に対する新たなバイオマーカーであると考えています。今後、さらに多くの症例で、治療開始後の経過との関連などを調べていくことで、より詳細に意義を明らかにすることができると考えています。

◆研究者からひとこと

この研究は、責任著者が所属している厚労省難治性肝胆膵疾患研究班の施設との共同研究です。多くの施設からの症例を集めさせていただき、病理プレパラートをとりまとめて金沢大学病理学に依頼するなど、なかなか情報のやり取りに手間取りましたが、ようやくまとめることができました。
高木教授(特任)

■論文情報
論 文 名:Clinical and Pathological Significance of Serum Anti–PD-1 Autoantibodies in Acute-onset and Chronic Autoimmune Hepatitis
掲 載 誌:Hepatology International
著  者:Takashi Oda, Akinobu Takaki, Kenichi Harada, Teruko Arinaga-Hino, Masanori Abe, Takeshi Matsui, Atsushi Takahashi, Hiromasa Ohira, Yoshiyuki Suzuki, Nobuhiro Nakamoto, Atsushi Tanaka, Kazuyuki Matsumoto, Jinpeng Li, Nozomi Miyake, Masahiko Sue, Takuya Adachi, Yasuto Takeuchi, Hideki Onishi, Miwa Kawanaka, Motoyuki Otsuka
D O I:10.1007/s12072-026-11152-x
U R L:https://doi.org/10.1007/s12072-026-11152-x

■研究資金
 本研究は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」{挑戦的研究(萌芽)・25K22578,研究代表:大塚基之、基盤B・25K03028,研究分担:大塚基之、基盤C・24K11153,研究分担:大塚基之}と日本医療研究開発機構(AMED)「肝炎等克服実用化研究事業 B型肝炎創薬実用化等研究事業 RNAスイッチを応用した新規抗HBV療法の社会実装にむけた最適化」(JP25fk0310540,研究代表:大塚基之)「肝炎等克服実用化研究事業 B型肝炎創薬実用化等研究事業 新規Repeat RNAとエンテカビル併用によるFunctionalCureの誘導」(JP25fk0310541研究分担:大塚基之)「革新的がん医療実用化研究事業 異常ミトコンドリアに基づく慢性炎症発がん機構の解明と予防への応用」(JP25ck0106947研究分担:大塚基之)「肝炎等克服実用化研究事業 肝炎等克服緊急対策研究事業 ミトコンドリア異常に注目したメタボリック関連脂肪性肝疾患(MASLD)の病態解明・新規治療開発」(JP25fk0210158,研究分担:大塚基之)「肝炎等克服実用化研究事業 肝炎等克服緊急対策研究事業 血清中の新規脂質粒子マーカー測定によるMASLDにおける肝病態と心血管リスクの統合的評価法の確立」(JP26fk0210210,研究代表:川中美和)、「厚生労働科学研究費補助金-難治性の肝胆道疾患に関する調査研究」の支援を受けて実施しました。

【研究協力者】
 以下に記す厚生労働省『難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究』班 班員の協力を得て実施しました。
 金沢大学人体病理学教室 原田憲一、久留米大学医学部医療検査学科 有永照子、愛媛大学医学部附属病院総合診療科 阿部雅則、手稲渓仁会病院消化器病センター 松居剛志、福島県立医科大学消化器内科 高橋敦史、福島県立医科大学 大平弘正、虎の門病院消化器内科 鈴木義之、慶応義塾大学消化器内科 中本伸宏、帝京大学消化器内科 田中篤

<詳しい研究内容について>
「免疫のブレーキ」が効かない?急性発症自己免疫性肝炎でPD-1に対する自己抗体を発見


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域 肝・腎疾患連携推進講座
教授(特任) 高木 章乃夫 
(電話番号)086-235-7219
(FAX)086-225-5991

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