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光合成の足場を守るタンパク質VIPP1の進化を解明―VIPP1の誕生は足場である「チラコイド膜」の誕生よりも以前だった―

2026年10月23日

◆発表のポイント

  • 植物の光合成は、葉緑体内の「チラコイド膜」という膜の上で行われます。VIPP1は、この膜の形成・維持・再構築に重要なタンパク質です。
  • VIPP1は細菌の膜保護タンパク質PspAから進化したと考えられていますが、いつ誕生したのかは分かっていませんでした。
  • さまざまなシアノバクテリアの系統を比較した結果、それらほとんどの系統においてVIPP1とPspAの両方が確認され、VIPP1は現在のようなチラコイド膜が成立する以前から存在していたことが示されました。
  • さらに、植物・藻類の葉緑体進化と、海洋性シアノバクテリアのゲノム縮小という異なる進化過程で、共通してPspAが失われ、VIPP1が残ったことが明らかになりました。

 植物の光合成は、細胞内の葉緑体にある「チラコイド膜[1]」で行われます。チラコイド膜には光合成に必要なタンパク質複合体が並んでおり、いわば光合成の「足場」です。この膜を作り、維持し、環境変化に応じて作り替えるために重要なのがVIPP1(Vesicle-Inducing Protein in Plastids 1)です。VIPP1は多数の分子が集合して膜に作用する「膜リモデリングタンパク質」で、高温や強光などのストレス下でもチラコイド膜を維持する働きが知られています。
 岡山大学学術研究院先鋭研究領域(資源植物科学研究所)の坂本亘教授、岡山大学資源植物科学研究所 非常勤研究員のAlexandre Muhire(ムヒーレ アレクサンダー)博士らは、国立台湾大学のMing-Yang Ho教授との共同研究により、VIPP1とその祖先型であるPspAの進化を解析しました。その結果、VIPP1は現在のようなチラコイド膜が成立する以前にすでに誕生しており、その後、異なる光合成生物の進化の中で繰り返しVIPP1が保持されたことを明らかにしました。
 この研究成果は、2026年10月5日に国際学術誌『Plant & Cell Physiology』に発表されました。

◆研究者からひとこと

VIPP1は、光合成の足場となるチラコイド膜を作り、守るタンパク質です。今回、VIPP1がチラコイド膜より前から存在し、その後の異なる進化過程でも共通して残ってきたことが分かりました。なぜ光合成生物がVIPP1を残したのかを、今後さらに明らかにしたいと考えています。
坂本教授

■論文情報
論文名:Convergent Retention of VIPP1 over PspA in Photosynthetic Lineages
著者:Alexandre Muhire, Ming-Yang Ho, Wataru Sakamoto
掲載誌:Plant and Cell Physiology
DOI:https://doi.org/10.1093/pcp/pcag131
公開日: 2026年10月5日

■研究資金
 本研究は、文部科学省科学研究費・学術変革領域研究(A)「光合成ユビキティ」計画研究および基盤研究(B)の支援を受けて実施されました。また、本研究のVIPP1に関する研究は、岡山大学RECTORプログラム(生命科学RECTOR国際光合成拠点)に基づき、ドイツ・ミュンスター大学との国際共同研究として実施されました。

<詳しい研究内容について>
光合成の足場を守るタンパク質VIPP1の進化を解明―VIPP1の誕生は足場である「チラコイド膜」の誕生よりも以前だった―


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院先鋭研究領域(資源植物科学研究所)
光環境適応研究グループ
教授 坂本 亘
(電話番号)086-434-1206
(メール)saka@okayama-u.ac.jp
(HP) www.rib.okayama-u.ac.jp/index-j.html

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