◆発表のポイント
- 手術などが難しい肝細胞がん(肝臓がん)に対し、肝臓の動脈へ抗がん剤を直接注入する治療を免疫療法と併用する方法を、多施設共同の臨床試験で検証しました。
- がんが縮小した患者さんの割合は45.7%対28.6%と高い傾向を示しました。また、がんが進行せずに過ごせた期間は8.3か月対6.6か月と有意に延びました。
- 重い副作用の割合は同程度で、安全性に大きな差はありませんでした。今後、より大規模な試験での確認が期待されます。
岡山大学学術研究院医療開発領域(岡山大学病院・新医療研究開発センター)の竹内康人准教授(特任)、学術研究院医歯薬学域(消化器内科)の大塚基之教授らの研究グループは、手術などの根治的な治療が難しい肝細胞がんに対し、免疫療法(アテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法)に、肝臓の動脈から抗がん剤(シスプラチン)を直接注入する「肝動注化学療法」を併用する治療の効果と安全性を、国内の多施設共同の臨床試験で検証しました。本研究成果は2026年8月29日、肝臓病学の国際学術誌「JHEP Reports」にオンライン掲載されました。
70人の患者さんを無作為に2つのグループに分けて比較したところ、主な評価項目であるがんが縮小した患者さんの割合は、肝動注を加えたグループで45.7%、免疫療法のみのグループで28.6%と高い傾向となることが確認されました。また、がんが進行せずに過ごせた期間(中央値)は8.3か月と6.6か月で、肝動注を加えたグループで有意に長い結果でした。重い副作用の割合は同程度でした。今後、より多くの患者さんを対象とした試験で、この治療法の有用性が確認されることが期待されます。
◆研究者からひとこと
| 切除できない肝臓がんの治療は、免疫療法の登場で大きく進歩しましたが、それでも十分に効かない患者さんがまだ多くいらっしゃいます。今回、肝臓の動脈からの抗がん剤投与を併用することで、がんの進行を抑える期間が延びる可能性が示されました。参加してくださった患者さん、共同研究施設の先生方、データ解析を支えてくださった病院のスタッフの皆さんに心より感謝申し上げます。 | ![]() 竹内准教授(特任) |
■論文情報
論 文 名:Atezolizumab–bevacizumab with or without cisplatin-based HAIC for unresectable HCC: A randomized phase II trial
掲 載 誌:JHEP Reports
著 者:Yasuto Takeuchi, Masahiko Sue, Motoyuki Otsuka et al.
D O I:10.1016/j.jhepr.2026.102002
U R L:https://doi.org/10.1016/j.jhepr.2026.102002
臨床試験登録:Japan Registry of Clinical Trials(jRCTs061210065)
■研究資金
本研究は、日本化薬株式会社の支援を受けて実施しました。
<詳しい研究内容について>
切除できない肝臓がんの新たな治療戦略を検証~肝臓へ直接抗がん剤を届ける治療の併用で、進行を抑える期間が延長~
<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医療開発領域
岡山大学病院 新医療研究開発センター
准教授(特任) 竹内 康人
(電話番号)086-235-7218
(FAX)086-225-5991
