国立大学法人 岡山大学

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日々の成績変化が手に取るようにわかるフィードバックメディアで家庭の教育力向上

2014年05月22日

 昨年度、市内の公立中学校で実施した長期学習実験で、これまでできなかった、次の教育支援が実現されました。
(1)新技術(スケジュールド・ビッグデータ)で全ての子どもの日々のドリル成績の変化を可視化
(2)教師の指導(励まし)の効果を子どもの意識データの変動として検出・可視化
(3)子どもと保護者にフィードバックする冊子を、新たな教育メディアにすることが可能に
(4)フィードバックを受けた保護者に、子どもを「ほめてあげたい」という意識が生まれる
 今年度も引き続き学習支援を継続、拡大します。
 また、新たなメディアに掲載するメッセージや記事等をお寄せいただく予定です。
◆スケジュールド・ビッグデータにより全校生徒の日々の成績変動を個別に可視化
・TカードやPontaカードのように、個人にヒモづけられる行動データが大量に収集される状況が生まれています(縦断的ビッグデータと呼びます)。それにより、個人の行動予測の精度が大きく高まると期待されていますが、実際は、縦断的ビッグデータには、データを集めれば集めるほど微細な傾向が埋もれてしまう、原理的な問題があります。・その問題を、スケジューリングという新たな技術(マイクロステップ技術)により解決し、子どもの日々のわずかな学習成績の向上を個別に描き出すことが可能になりました(資料①に、生徒の成績サンプルと保護者への説明文を添付しました)。・これまで勉強で褒めることができなかった、成績低位の子どもでも、日々の学習により成績は着実に向上していく様子が、個別に描き出せるようになっています。
◆教師の指導の効果も可視化
・成績の上昇が顕著な生徒(成績が高い生徒とは限らない)をピックアップし、その生徒を教師が褒める声掛けを計画的に実施。その前後で、その生徒の意欲が有意に上昇した他、自尊感情も改善されるなど、教師の指導の効果も可視化することが可能になりました。
◆自宅に持ち帰るフィードバック冊子を、新たな教育メディアにすることが可能に
・成績データにメッセージ等を付加したものを、各生徒の名前の入った冊子体として印刷しホッチキスどめしたものを、クラス単位で学校に届ける仕組みが完成しました(資料②参照)。子どもと保護者が必ず目を通し、学校を通じて各家庭に届く新たなメディアが登場しました。
◆フィードバック冊子を見た保護者に生徒を「ほめてあげたい」という意識が生まれる
・その冊子を生徒が家庭に持ち帰り、保護者が見ることによる保護者の意識変化を調査したところ、成績上昇が顕著な子どものフィードバックを受けた保護者には、子どもを「褒めてあげたい」という気持ちや詳細なフィードバックを強く望む気持ちが出てくることが明らかになりました(資料③参照)。特に、成績低位の子どもを保護者が学習面で褒めることができるようになったことで、家庭の教育力が実質的に高められると考えられます。
※本研究は、科学研究費補助金による助成を受けています(基盤研究A、縦断的大規模調査法を基礎とした因果推定研究の創出、研究代表者:寺澤孝文、課題番号:22240079)

報道発表資料はこちらをご覧ください

添付資料はこちらをご覧ください


<お問い合わせ先>
岡山大学 大学院教育学研究科
教授 寺澤孝文

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