国立大学法人 岡山大学

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ヒトとマウスの甘味受容体の機能の違いを解明-ヒトの客観的な味覚評価法の構築に向けて-

2014年07月16日

平成26年7月16日
農 研 機 構
理化学研究所 
岡 山 大 学

ポイント・甘味は、舌の細胞表面にある甘味受容体というタンパク質が感知しますが、甘味受容体が細胞膜に移動する仕組みがヒトとマウスでは異なることを明らかにしました。・この成果は、味覚受容が動物種によって異なるということを示すもので、今後、ヒトの味覚受容体を使った、より客観的な味の評価技術に活用していく予定です。
 味は、食品の嗜好性を左右する因子の1つであることから、食品開発では味を実際の感覚に即して適切に評価することが重要です。専門家が行う官能評価は客観的に味を評価できますが、作業が煩雑であるなどの問題がありました。そのため、簡便で客観的な味覚評価技術の開発が求められています。

 味を受け取る基本的な仕組みは、味の感受性の個体差が少ないマウスを利用することで解明されてきており、甘味や苦味は舌の細胞にあるセンサーが感知していること、センサーはそれぞれの味に対応した受容体と呼ばれる膜タンパク質であることが明らかになってきました。近年、味の感受性は動物ごとに異なるとの報告もなされるようになってきたところです。

 細胞は、細胞内で合成した受容体の細胞膜への移動を調節することにより、細胞内への情報伝達を制御しています。また、マウスは味の評価にもしばしば使われていることから、ヒトとマウスの甘味受容体の違いを明らかにするために、甘味受容体がどのように細胞膜に移動するかに着目して研究を実施しました。

 今回、農研機構、理化学研究所と岡山大学は、細胞膜上の甘味受容体を検知する方法を開発して、ヒトとマウスでは甘味受容体が細胞内で合成されてから細胞膜へ移動する仕組みが全く異なることを発見しました。この結果は、ヒトならではの甘味を受け取る仕組みがあることを示唆しています。今後は、ヒトの味覚受容体を使って簡便で客観的な味覚評価技術を開発し、食品の味の評価に活用する予定です。

予算:農林水産技術会議「アグリバイオ実用化・産業化研究」(H16-H20)、文科省「ターゲットタンパク研究プログラム」(H19-H23)、「科学研究費」(H25- )
研究成果論文の公開:米国の総合科学誌「PLOS ONE」オンライン版 米国東部時間2014年7月16日午後5時(日本時間17日午前6時)

報道発表資料はこちらをご覧ください

<お問い合わせ>
研究担当者:農研機構 食品総合研究所  上席研究員 日下部 裕子 TEL 029-838-7317
広報担当者:同 情報広報課長 濱野 保文 TEL 029-838-7992  FAX 029-838-7996
共同研究担当者:岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 教授 山下敦子(理研客員研究員)

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