国立大学法人 岡山大学

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味を感知する受容体のセンサー領域の立体構造を初めて解明

2017年05月24日

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)のニパワン・ヌアムケット特任助教(研究当時)、安井典久助教、山下敦子教授らと、理化学研究所、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、自然科学研究機構分子科学研究所、東北大学、大阪大学の共同研究グループは、口の中で味物質の感知を担う味覚受容体タンパク質について、受容体の主要部分である細胞外のセンサー領域が、味物質を結合している状態の構造を解明することに成功しました。五感を担うセンサータンパク質のうち、味覚の受容体の立体構造が明らかになったのは、これが初めてです。本研究成果は5月23日英国時間午前10時(日本時間午後6時)、英国の科学雑誌「Nature Communications」に掲載されました。
 味覚受容では、食物に含まれるさまざまな化学物質を、限られた種類の受容体で認識します。このことから、味覚受容体は、特定の化学物質を厳密に見分けるセンサーではなく、比較的幅広い化学物質を認識できるセンサーであるという特徴があります。研究グループは、大型放射光施設SPring-8を用いて解析を行い、味覚受容体が持つ味物質結合ポケットの特徴ある構造が、多様な味物質の認識を可能にしていることを明らかにしました。
 本研究成果は、味覚受容の最初の反応である、受容体と味物質との相互作用を原子レベルで初めて捉えたものであり、味覚の仕組みを理解する重要な一歩になるとともに、新しい味物質の開発などにもつながると期待されます。
<論文情報等>
論文名: Structural basis for perception of diverse chemical substances by T1r taste receptors
著者:Nipawan Nuemket, Norihisa Yasui, Yuko Kusakabe, Yukiyo Nomura, Nanako Atsumi, Shuji Akiyama, Eriko Nango, Yukinari Kato, Mika K. Kaneko, Junichi Takagi, Maiko Hosotani, Atsuko Yamashita
掲載誌: Nature Communications
DOI:10.1038/NCOMMS15530

<詳しい研究内容について>
味を感知する受容体のセンサー領域の立体構造を初めて解明

<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)
構造生物薬学 教授 山下 敦子
(電話番号)086-251-7974
(FAX番号)086-251-7974

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