国立大学法人 岡山大学

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敗血症病態に関与する血漿タンパク インターアルファインヒビターの作用を明らかに

2018年08月16日

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の西堀正洋教授(薬理学)の研究グループは、米国ブラウン大学との共同研究で、敗血症の病態形成に関与する血漿タンパクの一つ、インターアルファインヒビタータンパクの作用が、白血球の形態と機能制御を介して発現することを明らかにしました。本研究成果は8月14日付けの米国の科学雑誌「Blood Advances」に掲載されました。
 本研究グループはこれまでに、Histidine-rich glycoprotein (HRG)と呼ばれる別の血漿タンパクが抗敗血症作用を発揮することを報告していますが、今回インターアルファインヒビタータンパクは、HRGとは若干異なる仕方で好中球の機能を調節する働きをもつことを明らかにしました。
 インターアルファインヒビターとHRGタンパクはともに肝臓で産生され、血液中に分泌される糖タンパクで、見かけ上は区別がつきにくいですが、両者の作用には、細胞内骨格の制御や細胞表面分子の発現制御の点で相違が認められました。したがって血液中において、循環好中球と血管内皮細胞相互作用を制御するために、作用の異なる複数の血漿タンパクを組み合わせることで、血液―血管ホメオスタシスが維持されている可能性が強く示唆されました。敗血症の病態では、この機構が崩れることが考えられます。敗血症の治療法の開発に向けて今後の研究が期待されます。


◆発表のポイント
  • ヒトの好中球において、敗血症に関与する血漿タンパクであるインターアルファインヒビターの作用を明らかにしました。
  • 敗血症は世界で年間2000~3000万人が発症し、日本でも年間35万人が発症しています。
  • 本研究成果により、敗血症の治療法の開発が期待されます。
◆研究者からのひとこと
 今回の研究は、交流を続けている海外の大学との共同研究です。国を越えての研究の重要性を改めて感じています。

西堀 教授


■論文情報
 タイトル:Inter-alpha inhibitor proteins maintain neutrophils in a resting state by regulating shape and reducing ROS production 
 著  者:Soe Soe Htwe, Hidenori Wake, Keyue Liu, Kiyoshi Teshigawara, Barbara S. Stonestreet, Yow-Pin Lim, Masahiro Nishibori
 掲 載 紙:Blood Advances
 D O I:10.1182/bloodadvances.2018018986
 U R L:http://www.bloodadvances.org/content/2/15/1923.long?sso-checked=true


<詳しい研究内容について>
敗血症病態に関与する血漿タンパク インターアルファインヒビターの作用を明らかに


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)
薬理学 教授 西堀 正洋
(電話番号)086-235-7140
(FAX)086-235-7140

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