国立大学法人 岡山大学

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運転免許試験の奥行知覚検査(三桿法)には再現性があり、練習効果はないことを初めて示す

2019年02月21日

◆発表のポイント

  • 運転免許試験で行われている奥行知覚検査の「三桿法(さんかんほう)」の測定結果には再現性があり、練習効果は見られないことがわかりました。
  • また、正常範囲の斜位の人では通常どおり検査できるが、複視がある人の場合には検査できないことを初めて示しました。
  • 今回の研究成果は、社会で実施されてきている検査が科学的に妥当かどうかを最新の科学によって検証でき、交通安全や医療における検査の面においてもとても大切なことです。

 岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科(岡山大学病院眼科)の松尾俊彦准教授らの研究グループは、運転免許試験で行われている奥行知覚検査の「三桿法(さんかんほう)」の測定結果には再現性があり、練習効果は見られず、正常範囲の斜位の人では通常どおり検査できるが、複視がある人の場合には検査できないことを初めて示しました。
 本研究成果は、2018年12月にアメリカの科学雑誌「Heliyon」に掲載されました。
 三桿法は、1960年にわが国で制定された道路交通法の施行規則で実施が決められています。それ以降60年近くにわたって大型自動車やタクシーなどの運転免許の視覚(深視力)試験として実施されてきました。法律に基づいて実社会で行われている検査を科学的に検証した一例になると期待されます。

◆研究者からのひとこと

 岡山大学病院や僻地病院で眼科診療をしていますと、運転免許が更新できる視力があるかどうかで受診される方が多くいらっしゃいます。特に高齢者では視力は基準を満たしますが、車の運転は「見て、認知して、判断して、手足を動かす」という過程が大切な中、反射が落ちているので運転を止めた方がいいと話すこともあります。普通免許では求められない三桿法の検査では、「見て、認知して、判断して、手足を動かす」という過程があるので、大型などの免許の視覚検査としては適切なのではと思います。
松尾 准教授

■論文情報等
論文名:Three-rods test as drivers' license vision test from the viewpoint of reproducibility, eye deviation, and functional visual acuity
掲載誌:Heliyon
著者: Toshihiko Matsuo, Yuki Morisawa, TakeshiYoshinaga, Mari Ikebe, Ryosuke Hosogi, Chie Matsuo.
DOI: https://doi.org/10.1016/j.heliyon.2018.e01056

発表論文はこちらからご確認できます。

<詳しい研究内容はこちら>
運転免許試験の奥行知覚検査(三桿法)には再現性があり、練習効果はないことを初めて示す

<お問い合わせ>
岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科(岡山大学病院眼科)
准教授 松尾俊彦
(電話番号)086-251-8106
(FAX番号)086-251-8106

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