国立大学法人 岡山大学

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米国探査機の観測データから、小惑星ベンヌの表面の様子を解析 反射度分布や粗さなど予想外の特徴が明らかに

2019年03月20日

◆発表のポイント

  • 小惑星のサンプル採取を目的とした宇宙探査機オシリス・レックス(OSIRIS-REx)は、最近その目的地である、わずかですが地球と衝突する可能性をもつ地球近傍小惑星ベンヌ(Bennu、101955)に到着しました。
  • ベンヌの観測データを解析し、表面が予想外の反射度、組織、粒径、粗さや、水や有機物を含む炭素質コンドライト隕石との関連性を示唆する磁鉄鉱の検出を明らかにしました。

 NASAの宇宙探査機オシリス・レックス(OSIRIS-Rex、Origins, Spectral Interpretation, Resource Identification, and Security–Regolith Explorer)は、最近その目的地である、地球近傍小惑星ベンヌ(Bennu、101955)に到着しました。ベンヌは、初期地球に水や生命の原材料である有機物をもたらした可能性のある、始原的物体の代表的なものです。探査機は今後、ベンヌの表面をマッピングし、サンプル採取位置を選定して、汚染されていない小惑星サンプルを地球に持ち帰る予定です。
 岡山大学惑星物質研究所のMatthew Izawa助教を含むオシリス・レックス研究チームは、探査機が行った初期観測の結果をもとにベンヌ表面の分析を行い、磁鉄鉱の局地的な集中や、サンプル採集を困難とする小惑星表面の予想以上の粗さなど、いくつかの予期されていなかった特徴を発見しました。
 本研究成果は3月19日英国時間午後5時30分(日本時間20日午前2時半)、英国の学術誌「Nature」のAdvance Online Publicationとして掲載されました。

◆研究者からのひとこと

宇宙探査機オシリス・レックスは、小惑星ベンヌを探査することにより太陽系の初期の歴史をのぞき込む試みです。我々はこの始原天体について、すでに予想外の新たな事実を発見しています。この心躍る宇宙探査ミッションに参加できることをとてもうれしく思います。
Matthew Izawa助教

■論文情報
 論 文 名:The unexpected surface of asteroid (101955) Bennu(日本語:小惑星ベンヌ(101955)の予想外の表面)
 掲 載 紙:Nature
 著  者:D. S. Lauretta, D. N. DellaGiustina, C. A. Bennett, D. R. Golish, K. Becker, S. S. Balram-Knutson, O. S. Barnouin, T. L. Becker, W. F. Bottke, W. V. Boynton, H. Campins, B. E. Clark, H. C. Connolly Jr., C. Drouet d’Aubigny, J. P. Dworkin, J. P. Emery, H. L. Enos, V. E. Hamilton, C. W. 5 Hergenrother, E. S. Howell, M. R. M. Izawa, H. H. Kaplan, M. C. Nolan, B. Rizk, H. L. Roper, D. J. Scheeres, P. H. Smith, K. J. Walsh, C. W. V. Wolner, and the OSIRIS-REx Team
 D o I:10.1038/s41586-019-1033-6

<詳しい研究内容はこちら>
米国探査機の観測データから、小惑星ベンヌの表面の様子を解析 反射度分布や粗さなど予想外の特徴が明らかに


<お問い合わせ>
岡山大学 惑星物質研究所
助教 Matthew Izawa
(電話番号)0858-43-1215(代表)

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