◆発表のポイント
- 「食いしばり」は歯ぎしりのひとつであり、痛みや顎関節症、補綴治療の失敗などの、口腔内に大きな影響を及ぼし、日常生活に支障をきたすことがあります。
- 大学生に行った歯科検診およびアンケート調査の結果から、日中の食いしばりと痩せ型体型(BMI18.5 kg/m2未満)が歯並びに影響を与える可能性があることを明らかにしました。
- ・日中の食いしばりの習慣をやめること、および成長期に適正体重の維持を維持することで歯並びの悪化を予防することが期待されます。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野の外山直樹医員・森田学教授、同大保健管理センターの岩﨑良章教授、米国コロンビア大学の入江浩一郎研究員、朝日大学歯学部社会口腔保健学分野の東哲司助教の共同研究グループは、大学生における日中の食いしばりと痩せ型体型が歯並びの悪化に影響を与える可能性があることを世界で初めて明らかにしました。本研究の結果から、日中の食いしばりの習慣をやめること、および成長期に適正な体格を維持することで歯並びの悪化を予防することが期待されます。
本研究は、2月26日にスイスの学術誌「International Journal of Environmental Research and Public Health」のオンライン版に掲載されました。
歯並びは、見た目と咬む機能に大きく影響する要素のひとつです。歯ぎしりをすることの弊害はあまり知られていないと思いますが、本研究をきっかけに一般に知られるようになれば幸いです。 また、近年は痩せ過ぎに関する危険性が指摘されています。有名ブランドであるグッチやルイヴィトンは2017年に「痩せ過ぎモデルの起用を禁止する」と発表しています。本研究の結果は「美を追求するためにやせようとすることが、逆に美を損なう可能性がある」ことも示唆しており、非常に興味深いものでした。 今後も公衆衛生に寄与する研究をしていこうと思います。 | 外山医員 |
■論文情報
論 文 名:Awareness of Clenching and Underweight are Risk Factors for Onset of Crowding in Young Adults: A Prospective 3-Year Cohort Study
掲 載 紙:International Journal of Environmental Research and Public Health
著 者:Naoki Toyama, Daisuke Ekuni, Ayano Taniguchi-Tabata, Kota Kataoka, Mayu Yamane-Takeuchi, Kohei Fujimori, Terumasa Kobayashi, Daiki Fukuhara, Koichiro Irie, Tetsuji Azuma, Yoshiaki Iwasaki and Manabu Morita
D O I:10.3390/ijerph16050690
U R L:https://www.mdpi.com/1660-4601/16/5/690/htm
<詳しい研究内容はこちら>
「日中の食いしばり」「痩せ型体型」が「歯並びの悪化」と関係することを世界で初めて解明
<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
教授 森田 学
(電話番号)086-235-6712
(FAX)086-235-6714