国立大学法人 岡山大学

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歯周病患者の唾液中に多く含まれるRNAを発見~身体に負担の少ない新しい歯周病診断法の開発へ~

2019年06月28日

◆発表のポイント

  • 歯周病の進行によって唾液中に現れるRNA「hsa-miR-381-3p」を発見しました。
  • 唾液を採取するだけで行える、歯茎の検査や採血のような身体への負担のない歯周病の診断方法として有用である可能性があります。
  • 唾液を取るだけで歯周病のチェックができるキットの開発や、遺伝子治療の起点となることが期待されます。

 岡山大学病院予防歯科の藤森浩平医員、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)の森田学教授らの研究グループは、歯周病患者の唾液中に特異的に増加するRNAの存在を明らかにしました。これらの研究成果は3月15日、スイスのオープンアクセスジャーナル「Molecules」にResearch Articleとして掲載されました。
 今回発見されたRNA「hsa-miR-381-3p」は歯周病の重症な人の唾液中に多く現れるため、新しい歯周病の診断方法として有用である可能性があります。従来の歯周病の検査方法は、レントゲン撮影を行う方法や、針のような器具を歯茎の溝に差し込んで歯茎の破壊の程度を調べる方法など、身体への負担や手間がかかることが欠点でした。今回見つかったRNAを調べる方法は、唾液を採取して分析を行うだけで済み、痛みを伴うことがなく、より簡便に実施できます。本研究成果は、歯周病の発生や進行のメカニズムを明らかにする可能性があるだけでなく、歯周病の状態をチェックできるキットの開発や、遺伝子治療の起点となることが期待されます。

◆研究者からのひとこと

歯周病は痛みや自覚症状がないまま進行することもあり、放っておくと歯が抜けてしまう怖い病気です。今回の研究を発展させることで、将来的には唾液を取るだけで簡単にお口の状態をチェックできるようになるかもしれません。
藤森医員

■論文情報
論 文 名:Detection of Salivary miRNAs Reflecting Chronic Periodontitis: A Pilot Study掲 載 紙:Molecules著  者:Kohei Fujimori, Toshiki Yoneda, Takaaki Tomofuji, Daisuke Ekuni, Tetsuji Azuma, Takayuki Maruyama, Hirofumi Mizuno, Yoshio Sugiura, Manabu MoritaD O I:10.3390/molecules24061034U R L:https://www.mdpi.com/1420-3049/24/6/1034


■研究資金
 本研究は、独立行政法人日本学術新公開(JSPS)「科学研究費助成事業」(若手基盤研究C・18K10026,研究代表:藤森浩平)の支援を受けて実施しました。




<詳しい研究内容について>
歯周病患者の唾液中に多く含まれるRNAを発見~身体に負担の少ない新しい歯周病診断法の開発へ~

<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)
教授 森田 学
(電話番号)086-235-6712
(FAX)086-235-6714

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