岡山大学
大阪大学
◆発表のポイント
- 細胞内におけるタンパク質や脂質の積荷集配所であるゴルジ体は、パンケーキが積み重なったような構造をしています。その構造部分には穴があいていて、積荷仕分けの効率を上げると考えられています。
- Giantinというタンパク質をゴルジ体からなくしてしまうと、この穴がなくなってしまい、積荷仕分けがうまく行われなくなることを発見しました。
- ゴルジ体には、なぜパンケーキのような構造をしているかなど、まだ解明されていないことがたくさんありますが、今回の発見はその解明の糸口になると期待されます。
岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科の佐藤あやの准教授と大阪大学産業科学研究所の西野美都子助教らの国際共同研究グループは、細胞内小器官の一つであるゴルジ体の構造の調節にGiantinというタンパク質が重要な役割を果たしていることを発見しました。
これらの成果は8月27日、スイスの科学誌「Frontiers in Cell and Developmental Biology」のオンライン版に掲載されました。
細胞内におけるタンパク質や脂質の積荷集配所であるゴルジ体は、パンケーキが積み重なったような特殊な構造をしています。その構造部分には穴があいていて、積荷仕分けの効率を上げると考えられています。今回、Giantinというタンパク質をゴルジ体からなくしてしまうと、この穴がなくなってしまい、積荷仕分けがうまく行われなくなることを発見しました。
ゴルジ体はなぜそのような特殊な構造をとることができるのか、わかっていない点が多いですが、今回の発見は、ゴルジ体の構造の理解と細胞内積荷集配所としてのゴルジ体の機能の関係をつなぐ重要な手がかりとなります。
◆研究者からのひとこと
大学院生「ん?(パンケーキが)なんかのっぺりしてるんです」私「えっ?それどうやって数値化するの?どうやって英語で言うのよー?」なんていう会話がありました。結局、「穴なしモデル」を作って数値化しました。 安定発現株を作ることを得意としています。共同研究、学生さん、大学院生さん、大歓迎です。 | 佐藤准教授 |
■論文情報論 文 名:The golgin protein giantin regulates interconnections between golgi stacks掲 載 紙:Frontiers in Cell and Developmental Biology著 者:Ayano Satoh*, Mitsuko Hayashi-Nishino*, Takuto Shakuno, Junko Masuda, Mayuko Koreishi1, Runa Murakami, Yoshimasa Nakamura, Toshiyuki Nakamura, Naomi Abe-Kanoh, Yasuko Honjo, Joerg Malsam, Sidney Yu, Kunihiko Nishino D O I:10.3389/fcell.2019.00160 U R L:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcell.2019.00160/abstract
<詳しい研究内容について>
細胞内におけるタンパク質や脂質の集配所?! ゴルジ体での積荷仕分けシステムと形の関係が明らかになりました
<お問い合わせ>
岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科
准教授 佐藤あやの
(電話番号)086-251-8163