国立大学法人 岡山大学

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海上技術安全研究所との共同研究により自動海底ロボットの模擬充電に成功 自律型水中ロボットの自動揚収および深海自動充電実用化へ前進

2020年02月03日

◆発表のポイント

  • 自律型水中ロボット(AUV)による、海底ステーションへの自動ドッキングを行うことに成功しました。
  • AUVには、本学が開発した、複眼を用いる空間認識技術を搭載しています。
  • 本ドッキング技術により、AUVの海底での自動充電が可能になるため、長期間連続航行を要する海底資源探査・回収や海中未確認生物の生態調査などへの利用が期待されます。

 岡山大学大学院自然科学研究科(工)の見浪護教授の研究グループは1月14~17日、国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所との共同研究を実施し、自律型水中ロボット(AUV: Autonomous Underwater Vehicle)の自動ドッキングに成功しました。本学が開発した実時間複眼3次元立体認識(3D-MoS: 3 Dimension Move on Sensing)を海上技術安全研究所が開発した深海探査用ホバリング型AUV「ほばりん」に搭載し、ドッキング可能であることを実証したものです。このドッキング技術は洋上で調査船からのAUVの投入・揚収作業を安全に行うための技術として利用できるとともに、海底での自動充電を可能にするため、AUVの長時間海底作業の実現には不可欠な技術です。
 特徴はステレオビジョン(複眼空間認識方法)を用いていることです。現在、調査船からのAUVの投入・揚収作業は海面上で行っており、海上風や波浪に強く影響されます。スイマーによる海面上での揚収作業が必要になることもあり、風や波浪の影響の少ない海中での自動ドッキングを用いた揚収がなされることが望まれています。またドッキング技術は深海底でのAUVの自動充電を可能とし、継続的なエネルギー確保を可能とします。深海底の環境の特徴は、漆黒環境、海底泥の巻き上げによる画像ノイズの発生であり、この条件でいかに正確なドッキングを行うかが課題となります。そこで、3D発光マーカーと3D-MoSを組み合わせることで正確で確実なドッキングを実現しました。これにより、深海底での自律型知能ロボットの長時間自律連続運転の可能性が広がり、長期間連続航行を要する海底資源探査・回収や海中未確認生物の生態調査などへの利用が期待されます。

◆研究者からのひとこと

 ステレオビジョンをロボットの運動制御に用いるビジュアルサーボという技術について研究を続けてきました。特徴は動物のように視差を利用して空間認識ができること、動画像から対象物の位置・姿勢を計測しフィードバック情報として用いて制御する点です。産業界では単眼ロボットの利用が進んでいますが、動物のような複眼ロボットは普及していません。動物の機能や知能を応用したロボットを研究開発し、自然の山野で働くロボット(除染ロボットも含みます)や海底のような過酷環境で働くことができる実用的なロボット(未知環境でしかも昼夜の光環境の変化に適応できる知能ロボット)を研究開発したいと願っています。
見浪教授

<詳しい研究内容について>
海上技術安全研究所との共同研究により自動海底ロボットの模擬充電に成功
自律型水中ロボットの自動揚収および深海自動充電実用化へ前進


<お問い合わせ>
岡山大学大学院自然科学研究科(工)
教授 見浪 護
(電話番号)086-251-8233
(HP)http://www.suri.sys.okayama-u.ac.jp
助教 戸田 雄一郎
(電話番号)086-251-8233 
(FAX番号)086-251-8924
(HP)http://www.suri.sys.okayama-u.ac.jp

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