国立大学法人 岡山大学

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星間有機物が地球の水の起源に~地球型惑星の水の起源解明に期待~

2020年05月12日

北海道大学
桐蔭横浜大学
岡山大学
九州大学
海洋研究開発機構生物地球化学センター
東京大学


◆ポイント

  • 星間分子雲のチリに含まれる有機物を加熱すると水が大量に生成されることを発見。
  • 氷がない2.5天文単位より内側の領域でも有機物が水の源になり得ることを提示。
  • 地球型惑星の水の起源解明に期待。

 北海道大学低温科学研究所の香内 晃教授,桐蔭横浜大学スポーツ健康政策学部の中野英之教授,岡山大学惑星物質研究所の山下 茂准教授,奥地拓生准教授,九州大学大学院理学研究院の奈良岡浩教授,海洋研究開発機構生物地球化学センターの高野淑識主任研究員,東京大学大学院理学系研究科の橘 省吾教授らの研究グループは,星間分子雲*1のチリに大量に含まれている有機物を加熱すると,水が大量に生成されることを発見しました。これまで,地球に水をもたらした物質としては,彗星の氷や,炭素質隕石に含まれる水を含む鉱物などが候補になっていました。しかし,チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の探査によって彗星の氷の寄与はほとんどないことがわかり,また,炭素質隕石では地球の水が多くなりすぎるなどの問題があり,地球の水の起源はわかっていませんでした。星間分子雲由来の有機物は,氷がなくなってしまう,太陽から2.5天文単位の距離より内側の領域でも残っているため,有機物から水ができるという結果は,地球のみならず,火星や小惑星の水の起源を解明する上で,重要な成果です。「はやぶさ2」によって採取された試料中の有機物の分析と相まって,地球をはじめ,地球型惑星の水や有機物の起源が解明されることが期待されます。
 なお,本研究成果は, 2020年5月8日(金)公開のScientific Reports誌に掲載されました。
 

■論文情報論 文 名:“Precometary organic matter: A hidden reservoir of water inside the snow line(星間有機物:雪線の内側領域における隠された水の貯蔵庫)掲 載 紙:Scientific Reports著 者:中野英之1,平川尚毅2,松原康浩3,山下 茂4,奥地拓生4,朝比奈健太5,田中 諒6,鈴木徳行6,奈良岡浩7,高野淑識8,橘 省吾9,羽馬哲也10,大場康弘10,木村勇気10,渡部直樹10,香内 晃101桐蔭横浜大学スポーツ健康政策学部,2横浜国立大学大学院工学府,3京都教育大学,4岡山大学惑星物質研究所,5産業技術総合研究所地質調査総合センター,6北海道大学大学院理学研究院,7九州大学大学院理学研究院,8海洋研究開発機構生物地球化学センター,9東京大学大学院理学系研究科,10北海道大学低温科学研究所)D O I:s41598-020-64815-6

<詳しい研究内容について>
星間有機物が地球の水の起源に~地球型惑星の水の起源解明に期待~


<お問い合わせ>
岡山大学 惑星物質研究所 准教授 奥地拓生(おくちたくお)
TEL 0858-43-3746  FAX  0858-43-2184

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