◆発表のポイント
- 一人暮らしの大学生は、食事や飲酒などの生活習慣を悪化させやすいと言われています。
- しかし、大学生の一人暮らしが、歯磨きや歯科検診などの健康習慣を通して、口腔の病気にどのような影響を与えるかに注目した研究はほとんどありませんでした。
- 今回、3年間の追跡調査で、一人暮らしの大学生は定期的な歯科検診に行かなくなり、結果的に歯ぐきが腫れやすくなることが明らかになりました。
岡山大学病院予防歯科の中原桃子医員、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野の森田学教授、同大保健管理センターの岩﨑良章教授らの共同研究グループは、大学入学後、家族との住まいから離れて一人暮らしになった大学生が、家族との同居を継続している大学生と比べて定期的な歯科検診を受けていない傾向にあること、またそのことを通して歯ぐきが腫れやすくなることを明らかにしました。この研究成果は1月5日、スイスの学術雑誌「International Journal of Environmental Research and Public Health」に掲載されました。
日本では、高校を卒業して以降、歯科検診などの法的な歯科保健対策はほとんどありません。大学生も例外ではありません。この世代へのアプローチが課題となっている中で、この研究は、定期的な歯科検診を大学生に推奨する意義を示唆し、特に一人暮らしの大学生にはアプローチを強調すべきということを示すものになりました。
◆研究者からのひとこと
歯科検診や歯石取りに行くことで、早いうちから歯周病を予防することを意識してみましょう! 生活習慣が崩れやすくなる大学生活こそ、自分の一生の健康のために動くチャンスかもしれません。 | 中原医員 |
■論文情報
論 文 名:Living with family is directly associated with regular dental checkup and indirectly associated with gingival status among Japanese university students: A 3-year cohort study掲 載 紙:International Journal of Environmental Research and Public Health著 者:Nakahara M, Ekuni D, Kataoka K, Yokoi A, Uchida-Fukuhara Y, Fukuhara D, Kobayashi T, Toyama N, Saho H, Islam MM, Iwasaki Y, Morita MD O I:10.3390/ijerph18010324.
<詳しい研究内容について>
一人暮らしの大学生は歯科検診に行かなくなり、歯ぐきが腫れやすくなることを3年間の追跡調査で発見
<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)
教授 森田 学
(電話番号)086-235-6712 (FAX)086-235-6714