国立大学法人 岡山大学

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ヒトiPS細胞から作製したミニ肺臓器で、がん初期病変の見える化に成功

2021年07月29日

◆発表のポイント

  • 技術の進歩と共に肺がんの早期検出が可能となってきていますが、発がんの機序については解明されていない部分が多くあります。
  • ヒトiPS細胞から肺のミニ臓器である肺胞オルガノイドを作製し、がん遺伝子であるHER2を発現させ、がん化の初期変化の観察に成功しました。
  • 発がん機序の解明や新規のがん治療薬開発に応用されることが期待されます。

 岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)の三浦章博大学院生(当時・現Columbia University Irving Medical Center)、宝田剛志教授、豊岡伸一教授、阪口政清教授、冨田秀太准教授らの研究グループは、東京大学大学院工学系研究科の中村正裕特任助教との共同研究により、ヒトiPS細胞から肺のミニ臓器である肺胞オルガノイドの作製に成功し、そこにがん遺伝子であるHER2遺伝子を過剰発現させることで発がんへの初期の変化を観察することに成功しました。成果は6月21日、国際科学誌「International Journal of Cancer」のResearch Articleとして掲載されました。今回見出した研究成果が、発がん機序解明及び新規のがん治療薬の開発に応用されることが期待されます。

◆研究者からのひとこと

ヒトiPS細胞を用いて発がん機序を解明すべく研究を行いました。肺がんは予後不良の疾患でありこの研究が少しでもがんの早期発見・治療につながるものになればと期待しています。
三浦大学院生

■論文情報
論 文 名:Oncogenic potential of human pluripotent stem cell-derived lung organoids with HER2 overexpression
掲 載 紙:International Journal of Cancer
著  者:Akihiro Miura, Daisuke Yamada, Masahiro Nakamura, Shuta Tomida, Dai Shimizu, Yan Jiang, Tomoka Takao, Hiromasa Yamamoto, Ken Suzawa, Kazuhiko Shien, Masaomi Yamane, Masakiyo Sakaguchi, Shinichi Toyooka, Takeshi Takarada
D O I:https://doi.org/10.1002/ijc.33713
U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ijc.33713

<詳しい研究内容について>
ヒトiPS細胞から作製したミニ肺臓器で、がん初期病変の見える化に成功


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)
組織機能修復学分野  教授 宝田剛志
(電話番号) 086-235-7407

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