国立大学法人 岡山大学

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作物でまれに起こる有機リン系殺虫剤の薬害に関する遺伝子の発見  〜バイオマス作物ソルガム(たかきび)を用いた研究から〜

2021年10月08日

◆発表のポイント

  • 有機リン系殺虫剤はアブラムシなどの駆除のために植物(作物)に使われますが、一部の作物ではまれに、殺虫剤の散布により植物が薬害を示して死んでしまうことがあります。
  • ソルガム(別名:コーリャン、和名:たかきび、もろこし)で、この薬害を起こす株に着目して研究を進めたところ、原因となる遺伝子が見つかりました。
  • 有機リン系殺虫剤の薬害を防ぐ、安心で安全な作物の改良に役立つことが期待されます。

  岡山大学資源植物科学研究所・光環境適応研究グループの坂本亘教授らは、東京大学大学院農学生命科学研究科と共同で、ソルガム(Sorghum bicolor)が示す有機リン系殺虫剤の薬害を起こす遺伝子を明らかにしました。
本研究成果は10月6日に、国際科学誌「 Scientific Reports 」に掲載されました。今回見つかった有機リン系殺虫剤の薬害はトマトでも類似の報告があり、NB-LRRタンパク質を作る遺伝子の変化により作物に蓄積する可能性があることが示されています。このような遺伝子の作用を明らかにすることで、薬害による生育不全を防ぐ作物の改良に役立つことが期待されます。

◆研究者からのひとこと

 私の研究グループでは、植物の成長を支える光合成と葉緑体の研究をしています。今回論文発表する遺伝子の研究は、ソルガムの「ステイグリーン」という葉の性質を調べている途中で見つかった現象で、大学院生の荊子桓さんとフィオナ・ワシラさんが中心となって解析を進めました。
坂本教授

■論文情報
論 文 名: NB-LRR-encoding genes conferring susceptibility to organophosphate pesticides in sorghum

掲 載 紙: Scientific Reports
著  者:Zihuan Jing, Fiona Wacera W., Tsuneaki Takami, Hideki Takanashi, Fumi Fukada, Yoji Kawano, Hiromi Kajiya-Kanegae, Hiroyoshi Iwata, Nobuhiro Tsutsumi, and Wataru Sakamoto
D O I:10.1021/acsaelm.1c00472
U R L: NB-LRR-encoding genes conferring susceptibility to organophosphate pesticides in sorghum

<詳しい研究内容について>
作物でまれに起こる有機リン系殺虫剤の薬害に関する遺伝子の発見 ~バイオマス作物ソルガム(たかきび)を用いた研究から~


<お問い合わせ>
岡山大学資源植物科学研究所 光環境適応研究グループ 教授 坂本 亘
(電話番号)086-434-1206

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