国立大学法人 岡山大学

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任意対象物を発見追従しその位置姿勢を計測する空間認識装置を発売―ステレオビジョンを用いた動物の空間認識知能をAIで実現―

2022年01月18日

◆発表のポイント

  • 任意立体対象物(画像内に写る対象物であれば何でもよい)の位置姿勢を計測する新しい方法を開発し、計測装置を商品化しました。AIを用いて複眼カメラいわゆるステレオビジョンと視差を利用する新手法です。
  • 現在実用化されている画像と距離計測を組み合わせた主な空間計測手法は赤外線を用いて距離計測を行うため、屋外または水中での計測を行うことができません。しかし新手法は、可視光とステレオビジョンを用いているため屋外・水中での計測が可能で、福島での廃炉処理実施中の水中放射能遮蔽下の溶融原発炉心内部の空間計測が可能となります。
  • 提案手法は、画像内ノイズ、光環境変化、対象物遮蔽などに影響されにくくロバストです。
  • 提案手法は、リアルタイム計測が可能であり移動する水中動物を追跡しつつ位置姿勢を計測できます。したがって、水中生物をロボットによって追跡し捕獲する運動制御が可能です。

 岡山大学学術研究院自然系学域(工)の見浪護教授は、2016年に岡山大学発ベンチャー企業、株式会社ビジュアルサーボを設立し、ビジュアルサーボフィードバック制御のための空間計測システムの開発に成功しました。本学が開発した実時間複眼3次元空間認識をコンピュータに搭載し、ステレオビジョンカメラと組み合わせることで、任意対象物の位置姿勢をリアルタイム(ビデオ入力速度に遅れることなく位置姿勢を計測し出力できること)に計測できるシステムです。
 この空間認識技術は移動する自律型ロボットにとっては不可欠な計測能力です。なぜなら自律型移動ロボットは移動することで、ロボットにとって不十分な情報しか得られていない未知環境に侵入する場合もあり、新たな空間中で移動可能な自由空間の把握が重要な能力となります。また新たな空間には未知な対象物が存在することが前提となりますから、移動ロボットは3次元空間内の未知対象物の存在の認識とその位置姿勢の計測が必ず必要な能力となります。株式会社ビジュアルサーボはこのような未知環境の空間計測を任意対象物に対して行うことができる新しい計測システムの製造販売を行っております。また対象物までの距離を計測できることから、任意対象物(例えば新種の海底生物)の寸法計測も可能です。これは栽培漁業での泳ぐ魚の寸法計測に基づく給餌量の自動調節によって魚の成長をコンピュータ管理することにも利用できます。

◆研究者からのひとこと

空間計測をロボットの運動制御に用いるビジュアルサーボという技術について研究を続けてきました。特徴は動物のように視差を利用して空間認識ができること、動画像から対象物の位置姿勢を計測しフィードバック情報として用いて制御する点です。産業界では単眼ロボットの利用が進んでいますが、動物のような複眼ロボットは普及していません。動物の空間認識能力や知能を持つロボットや計測装置を研究開発し社会に貢献したいと願っています。
見浪教授

<詳しい研究内容について>
任意対象物を発見追従しその位置姿勢を計測する空間認識装置を発売―ステレオビジョンを用いた動物の空間認識知能をAIで実現―


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院自然科学学域(工)教授
TEL:086-251-8233
岡山大学発ベンチャー:ビジュアルサーボ
見浪 護
E-mail:minami-m◎visual-servo.com
※@を◎に置き換えています。
HP http://visual-servo.com/index.html


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