国立大学法人 岡山大学

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植物ゲノム解析手法を初めてヒト疾患「斜視」に応用!

2022年01月28日

◆発表のポイント

  • 遺伝統計学は植物から生まれた科学であり、明快で優れた遺伝モデルが存在し、植物では環境と遺伝の双方が関係する形質の解析が行われています。
  • 岡山大学資源植物科学研究所のオオムギ(大麦)遺伝解析の専門家の佐藤和広教授の研究室で稼働している二倍体植物用に開発された量的形質遺伝子座解析の手法をヒト多因子疾患である「斜視」に初めて応用しました。
  • 各遺伝子に対応するゲノムDNAの領域(エクソン)のみの配列を次世代シークエンサで決める全エクソーム解析を行い、一塩基変化の分布状態を22対の染色体全体で描画しました。
  • 内斜視患者群と外斜視患者群での差を1枚の図で表すことができ、ヒト多因子疾患の解析に役立つ新しい研究手法になると期待されます。

 岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域(医)生体機能再生再建医学分野(眼科)の松尾俊彦教授、同大学院ヘルスシステム統合科学研究科の張菁菁研究員、岡山大学病院眼科の濵﨑一郎講師、岡山大学資源植物科学研究所の佐藤和広教授は、二倍体植物用に開発された量的形質遺伝子座解析の手法をヒト多因子疾患である「斜視」に初めて応用しました。
 岡山大学資源植物科学研究所は、全国の共同利用・共同研究拠点「植物遺伝資源・ストレス科学研究拠点」)になっていて、2015年4月から実施した共同研究「植物ゲノム多様性解析手法のヒト疾患(斜視)多型解析への応用」(申請者:松尾俊彦、課題番号2743)の成果です。
 本研究成果は、2021年12月27日、スイスの科学誌「Life」に掲載されました。ヒトの多因子疾患を解析する新たな手法になると期待されます。

◆研究者からのひとこと

2014年から佐藤和広先生に教えてもらいながら進めた研究がやっと完成しました。当時大学院生であった張研究員と松尾が倉敷の資源植物科学研究所に電車に乗って通いました。研究所のまわりには研究用の大麦の畑が広がっている美しい風景です。植物研究が盛んな岡山の地の利を活かして、斜視のようなヒト多因子疾患の解明を進めていきたいと思います。
松尾 教授

張 研究員

■論文情報
論 文 名:Whole exome-sequencing of pooled genomic DNA samples to detect quantitative trait loci in esotropia and exotropia of strabismus in Japanese.
掲 載 誌:Life
著  者:Jingjing Zhang, Toshihiko Matsuo, Ichiro Hamasaki, Kazuhiro Sato
D O I:https://doi.org/10.3390/life12010041
U R L: https://www.mdpi.com/2075-1729/12/1/41

<詳しい研究内容について>
植物ゲノム解析手法を初めてヒト疾患「斜視」に応用!


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域
(岡山大学病院眼科)
教授 松尾俊彦

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