国立大学法人 岡山大学

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植物の乾燥適応経路を抑制する天然化合物の同定 - 緑茶で植物もストレスから開放される -

2022年05月18日

東北大学大学院工学研究科
東京大学大学院理学系研究科
岡山大学


◆発表のポイント

  • 緑茶に含まれる二種類のカテキンが、乾燥に対抗する植物の反応経路を抑制することを解明した
  • イオン輸送体を標的にした植物調節剤(バイオスティミュラント)の探索法の有効性を示した
  • 人・環境に配慮した安全な除草剤の候補分子への展開が期待される

 緑茶に含まれるカテキンは、抗酸化作用や抗菌作用など人体に良い効果が期待されていますが、植物のストレス低減や生理的な反応にも影響を与える可能性がありそうです。
 東北大学大学院工学研究科の魚住信之教授らの研究グループは、東京大学大学院理学系研究科、岡山大学、ミラノ大学との共同研究で、植物の気孔の開閉調節を担うイオン輸送体を阻害する2つの天然化合物を緑茶の成分から見いだしました。これら化合物は天然除草剤・バイオスティミュラントの候補物質としても期待されます。本研究は、5月出版のAdvanced Science誌に掲載されました。

■論文情報
タイトル:Green tea Catechins, (-)-Catechin Gallate and (-)-Gallocatechin Gallate, are Potent Inhibitors of ABA-Induced Stomatal Closure
(緑茶成分のカテキンガレートおよびガロカテキンガレートはABAが誘導する気孔閉鎖を抑制する)

著者:Kanane Sato, Shunya Saito, Kohsuke Endo, Masaru Kono, Taishin Kakei, Haruka Taketa, Megumi Kato, Shin Hamamoto, Matteo Grenzi, Alex Costa, Shintaro Munemasa, Yoshiyuki Murata, Yasuhiro Ishimaru, Nobuyuki Uozumi
掲載誌:Advanced Science, 2022
DOI: 10.1002/advs.202201403
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/advs.202201403

 本研究は、東北大学大学院工学研究科のほか、東京大学大学院理学系研究科の河野優助教、岡山大学学術研究院環境生命科学学域の村田芳行教授、宗正晋太郎准教授、ミラノ大学のAlex Costa教授との共同研究として行われました。JSPS、JST-moonshot、BIP、ミラノ大学の支援を受けました。

<詳しい研究内容について>
植物の乾燥適応経路を抑制する天然化合物の同定- 緑茶で植物もストレスから開放される -

【お問い合わせ先】
< 研究に関して >
東北大学 大学院工学研究科 バイオ工学専攻
教授 魚住 信之
電話:022-795-7280
< 報道に関して >
東北大学工学研究科情報広報室 担当 沼澤 みどり
電話:022-795-5898
東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室
電話:03-5841-8856
岡山大学総務・企画部広報課
電話:086-251-7292


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