国立大学法人 岡山大学

LANGUAGE
ENGLISHCHINESE
MENU

細胞の中の小器官へ薬を届けることに成功!

2022年06月30日

◆発表のポイント

  • 体を構成し、生命の最小単位である細胞、その中にある細胞小器官へ薬を届ける研究はこれまでほとんどされていませんでした。
  • 細胞小器官へ、人工合成した薬を届けることに初めて成功しました。
  • 細胞内へのドラッグデリバリーだけでなく、細胞内輸送の研究にも役立つ可能性があります。

 学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の佐藤あやの准教授の研究室(岡山大学オルガネラシステム工学研究室)は、体を構成し、生命の最小単位である細胞、その中にある細胞小器官(オルガネラ)の研究をしているグループです。また、共同研究者の大阪大学梶原研究室は、タンパク質、それも糖鎖によって修飾された糖タンパク質の合成研究をしているグループです。
 今回の共同研究では、細胞の中の細胞小器官(ゴルジ体や小胞体)に特定の薬(糖タンパク質)を届けることができれば、それが足りないことによって起きる疾患の治療などに役に立つのではと考え、その基になるシステムを作り出すことに成功しました。
 本研究成果は、5月23日に「Chemistry A European Journal」に掲載されました。今後、この基本のシステムを応用して様々な疾患の治療に役立つ薬の研究に役立てていきたいと考えています。

◆研究者からひとこと

 本当は、この糖タンパク質に小胞体まで行ってもらってその後どうなるかの研究をしたかったのです。が、期待通りにならなかったおかげで、ゴルジ体で止める未知の経路の発見に繋がりそうなんです!!
佐藤准教授

■論文情報
論 文 名:Design and Synthesis of Glycosylated Cholera Toxin B Subunit as a Tracer of Glycoprotein Trafficking in Organelles of Living Cells
掲 載 紙:Chemistry A European Journal
著  者:Yuta Maki, Kazuki Kawata, Yanbo Liu, Kang-Ying Goo, Ryo Okamoto, Yasuhiro Kajihara, Ayano Satoh
D O I:https://doi.org/10.1002/chem.202201253
U R L:https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/chem.202201253

■研究資金
 本研究は、科研費、水谷財団の支援を受けて実施しました。(17H01214, 21H05028, 21H04708; 210074)

<詳しい研究内容について>
細胞の中の小器官へ薬を届けることに成功!

<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合研究学域
准教授 佐藤 あやの
(電話番号)086-251-8163

年度