国立大学法人 岡山大学

LANGUAGE
ENGLISHCHINESE
MENU

岡山市保健センターの3歳児健康診査でスポットビジョンスクリーナによる屈折検査を導入~弱視の原因となる屈折異常の検出が向上し、早期の眼科受診が可能に~

2022年08月09日

◆発表のポイント

  • 3歳児健康診査では、身体測定、尿検査、内科診察(体と心の発育・発達)、歯科検診、視力と聴力検査、栄養相談、育児相談を行っています。
  • 3歳児健康診査の視覚診査では、弱視の原因となる屈折異常(遠視、近視、乱視)などを早期に発見して弱視の治療や予防に結びつけることを目指しています。
  • 岡山市保健センターでは、2021年4月から3歳児健康診査の視覚診査として子ども達全員にスポットビジョンスクリーナ(SVS)による屈折検査を始めています。
  • これに先立ち2020年8月~2021年3月、岡山市中区保健センターで試行的に813人の子ども達全員にSVSによる屈折検査を行いました。
  • SVSによる屈折検査を実施することで、弱視の原因になる屈折異常(遠視、近視、乱視)を多く見つけることができました。

 岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域(医)生体機能再生再建医学分野(眼科)の松尾俊彦教授、同大学院ヘルスシステム統合科学研究科の松尾智江客員研究員、岡山市保健所の栢野公美保健師、光藤彩保健師、佐藤千従保健師、松岡宏明所長は、3歳児健康診査の視覚診査にスポットビジョンスクリーナ(SVS)による屈折検査を導入する準備として、2020年8月~2021年3月、岡山市中区保健センターで屈折検査を試験的に導入し、検査手順や導線を確認しました。従来から行っている保護者による家庭での視力測定、保健センターでの看護師(保健師)による視力測定に加えて、SVSによる屈折検査を実施することで、弱視の原因になる屈折異常(遠視、近視、乱視)を多く見つけることができました。
 本研究成果は、2022年7月16日、スイスの環境科学・公衆衛生学の雑誌「International Journal of Environmental Research and Public Health」に掲載されました。

◆研究者からひとこと

弱視の原因になる屈折異常は早く見つけて眼鏡を装用し治療や予防することが大切です。岡山市保健所との共同研究でスポットビジョンスクリーナによる屈折検査を試験的に導入して導線を確認し、その意義を明らかにしました。これに基づいて岡山市では全国的にも早く3歳児健康診査の視覚診査でスポットビジョンスクリーナによる屈折検査を実施しています。暮らしやすい岡山市を目指して活動していますので、是非ともお子様を3歳児健康診査にお連れくだされば嬉しいです。
松尾 教授

図1. スポットビジョンスクリーナ(ウェルチ・アレン社のホームページから引用、米国)

■論文情報
論文名: Photorefraction with Spot Vision Screener versus Visual Acuity Testing as Community-Based Preschool Vision Screening at the Age of 3.5 Years in Japan.
掲載誌: International Journal of Environmental Research and Public Health 2022, 19, 8655.
著者: Toshihiko Matsuo, Chie Matsuo, Masami Kayano, Aya Mitsufuji, Chiyori Satou, Hiroaki Matsuoka.
D O I :https://doi.org/10.3390/ijerph19148655
U R L: https://www.mdpi.com/1660-4601/19/14/8655

<詳しい研究内容について>
岡山市保健センターの3歳児健康診査でスポットビジョンスクリーナによる屈折検査を導入~弱視の原因となる屈折異常の検出が向上し、早期の眼科受診が可能に~


<お問い合わせ>
岡山大学 学術研究院 ヘルスシステム統合科学学域
(岡山大学病院眼科)
教授 松尾俊彦

年度