国立大学法人 岡山大学

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副作用の観点から腎癌に対する薬物治療の個別化を推進!~リアルワールド・ビッグデータを実臨床に還元~

2022年08月23日

◆発表のポイント

  • 医療情報ビッグデータを活用したデータサイエンスにより、腎癌に対する主要な2つの薬物療法について、副作用を解析しました。
  • リアルワールドデータから、これら2つの療法で特に注意が必要な副作用を明確にし、2つの療法における副作用の差を明らかにしました。
  • 本研究成果は、副作用の観点から各腎癌患者さんに適した薬物療法の選択に繋がることが期待されます。

 岡山大学学術研究院医歯薬学域(薬)の松本准助教、薬剤部の座間味義人教授、濱野裕章講師、牛尾総一郎特任助教、岩田直大薬剤師、学術研究院医歯薬学域(薬)の有吉範高教授、学術研究院医歯薬学域(医)の荒木元朗准教授、那須保友理事(研究担当)・副学長をはじめとする共同研究グループは、医療情報ビッグデータを活用したデータサイエンスにより、腎癌に対する最新の薬物併用療法であるアキシチニブ+ペムブロリズマブとレンバチニブ+ペムブロリズマブの副作用の差を初めて明らかにしました。
 近年、腎癌に対して免疫チェックポイント阻害剤とチロシンキナーゼ阻害剤を組み合わせた新しい薬物療法が複数開発され、大きく注目を集めています。しかし、それぞれの療法の効果は一長一短であり、どの療法を選択するべきか、いわゆる“ものさし”となる指標が極めて乏しい状況です。そこで本研究では、それぞれの副作用がどちらの療法で生じやすいかを明確にし、副作用という観点を“ものさし”とすることで、各腎癌患者さんに適した薬物療法を選択することを目指しました。今後は、本研究成果と腎癌患者さんの状態とを照らし合わせることによって、薬物治療の個別化が推進できる可能性があります。
 本研究成果は、2022年7月29日に欧州の泌尿器科学雑誌「European Urology Focus」にオンライン版として掲載されました。

◆研究者からひとこと

 ビッグデータを用いたデータサイエンス研究により、現在最も注目されている最前線の薬物療法について、その治療戦略の構築に貢献できたと考えています。本研究は薬学部と医学部、および病院との連携によって実現した共同研究になります。今後も各部門との連携を大切にすることで、患者さんにとってより有益な成果を出していきたいと考えています。
松本助教

■論文情報
論 文 名: Adverse Events of Axitinib plus Pembrolizumab versus Lenvatinib plus Pembrolizumab: A Pharmacovigilance Study in FDA Adverse Event Reporting System
邦題名「アキシチニブ+ペムブロリズマブ vs レンバチニブ+ペムブロリズマブ:FDA有害事象報告システムを用いた医薬品安全性監視研究」
掲 載 紙: European Urology Focus (Impact Factor: 5.952)
著  者: Jun Matsumoto, Naohiro Iwata, Shogo Watari, Soichiro Ushio, Shoya Shiromizu, Tatsuaki
Takeda, Hirofumi Hamano, Makoto Kajizono, Motoo Araki, Yasutomo Nasu, Noritaka Ariyoshi, Yoshito Zamami

D O I:10.1016/j.euf.2022.07.003.
U R L:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S240545692200164X?via=ihub

<詳しい研究内容について>
副作用の観点から腎癌に対する薬物治療の個別化を推進!~リアルワールド・ビッグデータを実臨床に還元~


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(薬)
疾患薬理制御科学分野 助教 松本 准
(電話番号)086-235-7873 (FAX番号)086-235-7873

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