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化学物質管理

排水管理

排水管理の必要性

 岡山大学のような事業場からの排水は,公共下水道あるいは直接公共用水域(河川,湖沼,海域等)に排出されます。公共下水道に接続されている場合は,下水道を通って最終的に下水終末処理場で処理され,公共用水域に放流されます。しかし,下水終末処理場は,どのような排水でも処理できるわけではありません。強い酸またはアルカリ性の排水や有害物質等が含まれた排水が排出されると,下水管の損傷,下水終末処理場で使われる微生物の活動阻害処理能力の低下,処理汚泥への有害物質の蓄積等が発生するほか,下水処理の機能が著しく低下した場合には,下水処理が不完全となり周囲の水環境に悪影響を及ぼすことになります。一方,公共下水道に接続されておらず直接公共用水域に放流される場合,有害物質等を含んだ排水を排出してしまうと,排出された流域が汚染され,回復困難であるばかりか生態系などに悪影響を及ぼす可能性があります。
 一度悪化した水環境を回復することは困難です。水環境汚染を未然に防止するため,各事業場から排出される排水について,排水(排除)基準を設定するなどの規制が行われ,安全な水質が維持されるよう適切な管理が求められています。
 これまで,法規制の逸脱のほか,未規制の物質による環境汚染が繰り返されています。法令(基準)の遵守は最低限の義務でしかなく,水環境の悪化を防ぎ,環境負荷をできるだけ低く抑えるという意識をもって,有害物質等を含んだ排水を流さないよう,常に留意することが必要です。

岡山大学における排水管理

 岡山大学の津島,鹿田,倉敷,三朝地区などの主な地区はいずれも公共下水道に,また,一部の地区は,公共用水域に接続されており,岡山大学から排出される排水は「下水道法」,「水質汚濁防止法」,「岡山市下水道条例」等の法令の適用を受けます。また,下水道法に基づく排除基準及び水質汚濁防止法に基づく排水基準は様々な項目があり,排除基準値及び排水基準値を超えた排水を流すと法令違反となります。
 また,水質汚濁防止法においては,配管等の構造基準の遵守及び定期点検の実施が必要とされていますが,岡山大学の建物からの排水は地下配管を使用しており,法が求める地下配管の点検実行は困難です。代わりに,特定施設本体(実験室の流し)から有害物質を一切流さないことを担保することで,(法規制の目的である地下水汚染防止及び土壌汚染防止を達成し)配管の構造基準の遵守及び定期点検実施の義務の適用が免除されています。
 このため,岡山大学では,排水中の有害物質を,下水道法に基づく排除基準及び水質汚濁防止法に基づく排水基準よりも更に厳しく,検出限界未満で管理することが必要です。有害物質を流出することがないように厳重に注意してください。また,規制されていなくても環境に悪影響を及ぼすものは流すことはできません。
 もし,法令で定められている排水の基準値を超過もしくは有害物質が検出された場合,法令違反となり,行政措置及び罰則を受けることになります。これまでも「岡山大学から排水を流せない」 =「水が使えない」=「実験できない」事態が発生しています。さらに,環境汚染を引き起こした場合,学内外における環境汚染の回復が必要となるほか,マスコミ等による報道が行われ,大学の社会的信用が失墜する可能性もあります。排水の取り扱いには十分注意が必要です。
 排水を排出するため岡山大学に設置された流しは,「実験洗浄流し」と「その他の流し」に区分しています。いずれの流しにも pH 異常水(pH が5未満の酸性溶液または9を超えるアルカリ性溶液)のような規制基準値を超過した排水及び有害物質を絶対に流してはいけません。流しに流せないものは廃液として適切な処理が必要です。環境管理センターでは学内で発生した廃液を取りまとめ委託処理を行っています。環境管理センターの廃液処理をご利用の場合は,こちらのページ(学内限定情報)をご参照ください。

流しの点検と有害物質の漏洩,流出,飛散防止対策

 水質汚濁防止法により、特定施設(実験室の流し)は、年2回以上の点検が必要です。
 排水を排出する者は,水質汚濁防止法で規制されている有害物質を含有する排水を地下に浸透させてはなりません。したがって、有害物質を使用する施設及びその床面及び周辺,配管,排水溝等から,有害物質及び有害物質を含む廃液・排水(洗浄水を含む)の漏洩,流出,飛散がないようにしなければなりません。漏洩等を未然に防止するためには,有害物質を取り扱う保管庫,実験装置,実験器具,廃液貯留容器を適切に管理する(定期的な点検を行う)必要があります。
 また,漏洩等の事故が発生した場合,直ちにウエス等により拭き取るほか,流出防止,飛散防止等の対応が必要です。対応マニュアルや連絡体制について,各研究室等で整備しておかなければなりません。

実験洗浄流しの点検について

 岡山大学では,法令遵守のため,流し(器具洗浄機,ドラフト内の流し本体を含む)を設置している実験室毎に「実験洗浄流し管理責任者」を配置しています。
 「実験洗浄流し管理責任者」は,排水の適正な水質の維持管理のほか,管理する実験室に設置された流しの点検を以下の項目について年に2回以上実施してください。
 また,流しの点検により,問題点を発見し異常を認めた時は,すぐに対応し補修等を行うほか,点検結果は,学内規定に基づき記録し,5年間保管するよう留意ください。

<実験室の流しの点検項目>
1.流し,ドラフトチャンバー内の流し本体,器具洗浄機の本体
 □ 孔が開いていたり,ひび割れていない
 □ 排水面がさびなどで腐食していない
2.流し周辺の床面,排水管
 □ 孔が開いていたり,ひび割れていない
 □ 排水面が錆などで腐食していない
 □ 排水管接続部からの水漏れがない
3.流しから漏洩した洗浄水を回収するためのウエスなどの用具(設備)を流し近傍に常備

実験洗浄流しの設置等について

 実験室において実験洗浄流しを設置,変更,廃止する場合,実験洗浄流し管理責任者は,必ず,事前に所属部局の担当事務宛てに一報願います。担当事務の方は,その情報について環境管理センターまでご連絡願います。実験洗浄流し(特定施設)の設置等を行う場合,法令に基づき事前に行政へ届出が必要です。

排水管理と環境管理センター

 環境管理センターでは,教職員を対象に水質管理講習会を開催するほか,津島地区において各部局及び公共下水道へ放流する実験洗浄排水の常時監視,水質監視機器(pH計)の維持管理,公共下水道への放流水の定期的な水質分析,水質管理に係わる行政への報告などの業務を行っています。また,津島地区以外では,水質分析異常時の結果の取りまとめを行っています。

排水管理に関する資料

岡山大学水質管理規程
岡山大学水質管理規程実施要項(学内限定情報)
岡山大学における排水の取扱い(学内限定情報)
岡山大学における廃液の取扱い(学内限定情報)

水質管理基礎(e-Learning)2019の受講について

 本講習は,岡山大学構成員全員の受講が必要です。未受講の方は,以下の受講手順を参照の上,必ず受講願います。なお,再受講は不要です。
水質管理基礎(e-Learning)2019受講手順

 その他水質に関する講習会について,こちらのページに掲載しています。対象者は受講をお願いします。