カルシウム, Ca (calcium )


臨床的意義
 
成人の生体には約1kgのCaが存在するが,その99%は硬組織(骨や歯牙)に含まれており,残りの1%が軟部組織や細胞外液中に存在する。血液中に存在するCaは約0.1%にすぎないが,種々の生理機能調節に重要な役割を果たしており,主に副甲状腺ホルモン(PTH)と,活性型ビタミンDである1,25水酸化ビタミンD[1,25(OH)2D]により,腸管からの吸収,骨での出入り,腎尿細管での再吸収の各段階で調節されている。したがって,これらのホルモン作用の異常,あるいは腸管,骨,腎などの標的臓器の異常により血中Ca値に異常をきたす。また,血清Caの約50%は血清蛋白質(大部分はアルブミン)に結合している。そのため,血清総Ca測定時には必ず血清アルブミンを測定し,Payneの式などにより補正する。
補正Ca値(mg/dL)=血清総Ca値(mg/dL)+4-血清アルブミン値(g/dL) 

測定方法: アルセナゾV法(平成20年10月9日より)
        
酵素法(平成18年7月18日より平成20年10月8日まで)
        
比色法(OCPC法)(平成18年7月14日まで) 
 
測定機器:
 日本電子BM8040(血清)(平成26年3月24日より)
        
日本電子BM6050(尿)

        
日本電子BM2250(血清)(平成18年7月18日より平成26年3月20日まで)
        
日本電子BM1650(尿)

        
日立7350自動分析装置(血清)(平成18年7月14日まで)        
        
日立7070自動分析装置(尿)

測定試薬: セロテック(平成20年10月9日より)
        東洋紡(平成18年7月18日より平成20年10月8日まで)
        シスメックス(平成18年7月14日まで)

基準範囲: 血清  8.8〜10.1 mg/dL (平成27年7月1日より共用基準範囲へ変更)
          8.6〜10.1 mg/dL(平成20年10月9日より平成27年6月まで)
         
8.7〜11.0 mg/dL (平成18年7月18日より平成20年10月8日まで)
                
8.0〜9.5 mg/dL (平成6年9月より平成18年7月14日まで)
                 
8.0〜10.0 mg/dL(平成6年8月まで)

        尿  
0.1〜0.4 g/day

相関
平成20年10月9日


血清
平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=0.95X+1.03 r=0.963  n=200

尿
平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=0.89X+0.60 r=0.992  n=200

血清
平成6年9月
従来法:X
新法:Y
Y=1.014X-0.075

小児の基準値 
 新生児では対成人値比が約1.1であるが、その後漸減して5歳くらいで成人値になる。性差は全年齢を通じてない。

異常値を示す疾患
高値疾患: 
原発性副甲状腺機能亢進症 ・ 甲状腺機能亢進症 ・ 褐色細胞腫 ・ Addison病 ・ 悪性腫瘍(骨転移およびPHTrP産生腫瘍) 

低値疾患: ビタミンD欠乏症 ・ 副甲状腺機能低下症 ・ 慢性腎不全

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

無機リン(IP)
ビタミンD
PTH
カルシトニン
オステオカルシン
PTHrP

先頭に戻る    前ページに戻る